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月刊「国民生活」 [市場と経済色々]

ブログでお知らせするのを忘れていましたが、国民生活センターの月刊ウェブマガジン「国民生活」に、一月号から「私たちと経済」という連載を始めました。(15日発行。半月経っちゃいました)
国民生活センターは「消費者問題・暮らしの問題に取り組む中核的な実施機関」とのことで、消費者からの相談を受けたり、身近な商品のテストをしたり、といった活動を行っているようです。これまで関わったことは無かったのですが、一般に「経済」というと、難し気で近寄りがたいという人が多い、なんとかもっと「経済」を身近に感じてもらえないだろうか、という問題意識から、「経済について、親しみやすい記事を」というご依頼をいただきました。私としても日ごろから、金融市場について分かりやすく語る、ということを心掛けているので、喜んで書かせていただいています。

第一回は、「経済と暮らし」などと言う漠然たるタイトルですが、ここで申し上げたかったのは、私たちの日々の生活そのものが経済なんだ、ということ。どうしても、経済も政治と同じように、「偉い人たち」の政策で動いているように思いがちなのではないでしょうか。私たちが生活している現代の経済は、市場によって動く自由な経済なのです。私たちは、仕事があるのならばどんな職業でも選ぶ自由があり、買うためのお金さえあれば好きなものを選んで買う自由があります。そうした私たちの自由な選択が、経済を動かしているのです。

そして、経済の動きである「景気」はどうすれば「見える」のか、経済を測る代表的な指標である「GDP」とはどういうものなのか、そんな話を書いています。ご関心のある方は、国民生活センターのウェブサイトをのぞいてみてください。

因みに、この月刊のウェブマガジン、1月号は、シェアエコノミーがメインの特集記事です。シェアエコノミーを巡る法的課題ですとか、フリマアプリの相談事例など、勉強になります。ドローンの法規制、不当な働きかけから身を守る心理学、なども興味深いですね。ご覧になって見ると面白いと思います。

国民生活センタ―のウェブサイト
月刊「国民生活」

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着物屋さん夜逃げ事件と先払いのリスク [市場と経済色々]

成人式の着物屋夜逃げ事件、全くひどい話ですね。まさに「晴れの日」に一度に大勢の被害者が発生した、という点を除けば、先に払い込んだ料金を持ち逃げされた、という単純な詐欺事件のようでもあります。

詐欺ではなくても、払い込んだ先の事業者が破産してしまえば、同じことは起こり得ます。理由はどうあれ、品物やサービスの提供を受けずに先払いする、ということはリスクを孕む行為です。一定の期間の間に何が起こるかわからない、そのリスクを払う側が引き受ける、ということなのです。ですから、早く払い込めば××%割引、というのは当たり前で、得しているわけではないのです。リスクを引き受けるだけの料金を、業者さんからいただいているわけです。

では、どのくらい割引されるのが適正なのでしょうか。どのくらい安くなれば本当に安いと言えるのでしょうか。この時まず数字として算出しやすいのは「金利」水準から求められる部分です。業者さんは、商品を提供するために資金が必要です。自己資金が十分なければ、どこかから調達しなければなりません。その調達コストは、一般の金利水準が反映されます。ですから先払いする場合は、期間に応じた金利分、最低でも割り引いてもらわなくてはなりません。ここまでは、業者さんに提供する「期間」の利益の部分です。

しかし実際にお金を貸し借りするときの金利は、期間の長さだけでは決まりません。それは前回のブログにも書いたとおりですが、要素としてもっと大きいのが「信用」を反映する部分です。今のような低金利下では特にそうでしょう。その業者さんがどのくらい信用できるのか、倒産する可能性や、今回の着物屋さんのようにドロンと消えてしまう可能性がどのくらいあるのか、ということです。

そのような可能性を数字ではじくことはとても困難なことですが、例えばの話、倒産したり夜逃げしたりする可能性が50%であるとわかっていたならば、正規の料金から金利分割り引いて、さらに半額、というふうに値付けできるかもしれません。まあ実際にはそんな簡単な話ではないので、ここでは頭の体操としてイメージしてみてください。

そこまで割り引いてもらって、実際に晴れ着を着ることが出来たら、賭けに当たってよかったね、という感じですね。半額よりももっと安くしてもらっていれば、初めてお得でした、ということになります。逆に今回のように夜逃げされてしまったら、賭けに負けて残念でした、という感じでしょうか。安かろう悪かろうだね、と言って諦めてもらう。ビジネス的にはそういう道理なわけです。

もちろん一生に一度の式典に、そんな賭けを持ち込むのはどうかと思いますが、「信用」というのはそういうこと。デパートのような小売店の値付けには、こうした「信用」のコストもかなり含まれているはずです。高いけれども、一夜にしてドロン、ということは考えられませんからね。

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金利を予想するわけではない金利のセミナー [セミナー企画]

先日あるセミナーで、「金利」をテーマに話をしました。金利の先行きを予想する、なんて話ではありません。「経済」や「金融」と聞くとどうしても、難しい、分からない、と思って敬遠してしまう、そんな人を対象に、金利について基礎的なことを理解し、苦手意識を克服しよう・・・そんなセミナーです。

「金利商品」といえば一般に債券のことですが、普段は株式の事ばかり話している私が、なんでまた金利の話なのか。それは、なんと言っても金利こそが金融の基本だからです。金融業を加工産業に例えれば、金利は原料みたいなものだと思うからです。株式だって、金利と深く関わっています。

金融商品にはそれぞれ金利によって様々な条件が備わっています。運用商品であれば、利息がもらえたり、元本が成長したりするでしょうし、ローンであれば利払いが生じます。それらの金利は、違う商品、違う市場であっても、みんなつながっているのです。なぜなら皆同じ経済の中にあるからです。

金利がどうやって決まるのかは、大きく分けて2つの要素があります。一つは「経済成長」や「景気」。金利にとっては名目成長率が重要なので、「物価」の動きもこれに含まれます。景気が良くなる時、物価が上がる時に金利は高くなりますが、景気や物価はどういう経路をたどって金利に結び付くのか、考えてみたことはありますか?

そして二つ目の要素は「信用」です。「リスク」と言ってもいいでしょう。投資や融資先として考えると、信用の度合いが低い、つまりリスクの高い案件は、利回りも高くなります。危ない橋を渡るのだから、成功時には高い収益を上げさせてもらわなければ割に合わない、というわけです。ハイリスク・ハイリターンということですね。

こうした金利の決定する背景が分かっていて初めて、金融商品の評価が出来ることになります。同じ経済という背景があって、その上でつながっているから、違う種類の金融商品であっても、互いに比較しあうこともできるのです。

現状はゼロ金利と言われるように、景気や物価から与えられる金利水準は非常に低くなっています。金利が原料の金融業にとっては、謂わば原料の調達が困難な状況なのですね。そうは言っても、二つ目の要素によって、金利は機能しています。金融業というのは、「リスク」を測り、それに「金利という値段」をつけることこそが、重要な仕事であると思います。

タグ:金利
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雇用の「安定」と「報酬」 [市場と経済色々]

日本では今に始まったことではありませんが、ここ数年世界的に物価上昇率が低下して、デフレ気味になっている、経済が好調な割に、賃金が上がらない、という現象が問題視されています。特に日本ではその傾向が顕著です。

ここに貼り付けたグラフは、ある講演会で配られた日銀作成の資料。賃金動向の統計で、特別なものではありません。示されている事実も、すでに誰でも知っていることだろうと思います。

IMG_20171212_103555 (002).jpg

パート雇用の賃金上昇率(左のグラフの赤線)は、順調に拡大を続けていて、特に過去1年ほどではいわゆる正規雇用(同青線)とかなりの差がついています。通常、「所定内給与」(つまり正規雇用)の方が水準が高いでしょうから、この数年で、両者の給与水準の差が縮んできているということなのでしょう。

ここでも「二重構造」とメモしてあるのが見えますが、日本では雇用市場がこのような構造になっていて、長期雇用を重視するあまり、「所定内賃金」はなかなか上がらないのだ、という説明がなされます。多分それに異論はないと思います。

これは私流の表現をするならば、「安定」のお値段が上がっている、ということだと思います。かつては空気や水のように、あるのが当たり前であった雇用の「安定」。高度成長期、慢性的な人手不足で、雇い主である企業は給与を「安定」という形で大判振る舞いしました。それが終身雇用制。雇用市場に「安定」は豊富にあったのです。

でも今は「安定」は貴重品です。雇い主は「安定」をあまり支払いたがらない。もうそれは高価なものになったしまったのです。働き手は、「安定」で支払ってほしければ、その分現金の給与を我慢しなければならなくなりました。パートの賃金の方が「所定内給与」よりも大幅に上がる、それは循環的に生じている現象というよりも、構造的に「安定」の価格が反映されて行く過程のように、私には見えます。賃金水準は等しく上がっているのだけれど、「所定内給与」のほうは、前から持っていたのに計上されていなかった「安定」の価値を、少しずつ計上しているのです。もともと「安定」を持っていないパート労働では、賃金の上昇となって現れている。パート、というか「非正規」の働き方が一般化し、また賃金上昇率がプラスになったことで、雇用の「安定」の価値が顕在化してきた、とも言えます。

「安定」をとるか、現金で支払われる「給与」をとるか。こういう選択は既に「外資系」がメジャーな雇手として跋扈している金融業界の一部では、当たり前のことになっています。年俸制で報酬の高い外資系企業に転職すれば雇用の保証はなくなる。こういうのをトレードオフと言いますよね。こうしたトレードオフは、もっと労働市場に広く反映されるべきだと思っています。安定は要らないから高い年俸が欲しい、という選択があってもよいではありませんか。そういう働き手は、企業にとってもニーズがあると思います。「ドクターX」なんていうテレビドラマがウケるところを見ると、金融以外の業界でも、安定を捨てて高い報酬を得る、という世界は広がってきているのでしょうか。

安定と報酬のトレードオフは、投資の世界で言うリターンとリスクの関係そのものです。不確実性を受け入れるからこそ、高い収益が期待できるのです。雇用が安定していることは素晴らしいことですけれど、安定も報酬も、というのは虫が良すぎます。今後雇用情勢がさらに逼迫し、安定した雇用の給与水準も上がる日が来るだろうと思います。でもそれで問題がなくなるわけではないでしょう。安定を前提としない雇用をいつまでも「非正規」と呼び、労働市場を「安定」か、そうでないかという二つに分断し続けるのは、経済の実態に合わなくなっているように見えます。

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不動産投資してもいいんだけれど… [市場と経済色々]

テレビを見ていて気になったので、門外漢ですが今日は不動産投資について
2~3日前、朝のNHKの番組内で「クローズアップ」として、月並みな感じではありますが、アパートに投資する個人投資家がとりあげられていました。

一人目は30代の会社員、自己資金を一切使わずにアパートを一棟買い。銀行は、彼の年収をはるかに上回る、1億58百万円を融資しています。買っている本人は「自分のお金を使わずにすむと聞いて安心した」と言っていましたが・・・、何が安心なんでしょう?
それからアメリカ・テキサスの戸建て住宅を買ったという50代会社員。すでに国内に5棟のマンションを所有し、借り入れは6億円に上っているそうです。もう完全に感覚が麻痺しているかんじですね。
最後は破綻が表面化している例。アパートに空きが出て採算が悪化し、赤字が毎月20万円でローンの返済が困難になっている、と。年収600万のサラリーマンだそうですから、そんなに赤字が出れば無理もありません。

テレビの視聴者が、しっかり最後の例まで見てくれているといいんですけれど。こんなふうに破綻する個人が、将来たくさん出てくるのでしょうね。
アパートに投資する際に、いくら利益が出るか、などというのは勧めてくる業者さんがいくらでも計算してくれます。自分でしっかり考えるべきなのは、いったい何軒のテナントが退去したら自分が破産するのか、ということなんです。

それにしても、こうした銀行の不動産ローンは、今も「個人」に対するローンなのでしょうか。「事業」に対する、いわゆるノンリコースローンであるべきなんじゃないでしょうか。異常なレベルの融資がはびこるのは、貸す側の責任が軽すぎるからでは?事業と言っても相手は一介の個人なのですから。

因みに、過去に私が不動産投資した時には、私がそこそこの預金を置いているにもかかわらず、某銀行は私の年収にも満たない額を、貸してくれようとはしませんでした。その後、資産運用のご相談を、などと言って電話してくると、いつも言い返したものです。あなた方は、私が資産運用したい時にさせようとしなかった人たちですからね、と。



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25年来の高値 [投資スタイル]

先週は日本株が、25年来の高値を更新しました。こういう時に、個人投資家としての私は何を考えているか、というお話。

聞くところによると、多くの個人投資家はせっせと保有株式を売っているんだそうです。上がったものはまた下がる、だから高いうちに売っておこうと考えるのは自然なことです。特にこのひと月の上がり方は、さすがにスピード違反の感があります。また、日本株はもう長年、上がり続けるという経験をしていないので、ある程度上がったら売るという態度が身についてしまっているということもあるでしょう。

【株価の現状】
改めて株価の現状を確かめてみましょう。少し長めの期間を眺めると、日本株は、途中で若干の中断はあったものの、過去5年間上昇傾向にあります。アベノミクスのスタートする少し前からですね。その間景気もずっと拡大傾向です。景気拡大の期間がいざなぎ景気を超えた、と先日も報道されていましたね。上昇している株式の顔触れも、「景気敏感株」と言われる銘柄群が中心で、ほぼセオリー通りの業績相場ということがわかります。

景気拡大に伴って企業業績も良くなっているので、株価の評価は先週一番高かった火曜日の終値でもPERが17倍弱と、まあちょっと高いかな、という程度。配当利回りは加重平均で1.8%ですから、そう悪くはないと思います。そんなわけですから、慌てて売らなきゃならない、という感じもしていません。

この先上がるか下がるかをここで予想するのが目的ではありませんが、今後起こり得るシナリオとしては、景気がピークアウトして業績が悪化し始める、ということはあり得ます。だから株価を予測したいと思えば、今の景気があとどのくらい続くのか、ということが重要になってきます。景気の拡大がすでにかなり長く続いいているので、警戒する向きが多いのも頷けます。株価は景気より先行するので、早めの売り、という選択をする投資家も多い、ということになります。

このところ立て続けに人気エコノミストの講演会を聴講しましたが、どちらのエコノミスト氏も、景気拡大は案外まだ続きそうだということをおっしゃってました。そうなると今度は、企業業績はピークアウトせずに、来期さらに1割ぐらい増益になる、なんてこともあるかもしれません。株価の評価を見ても、当分大丈夫という感じになってきますね。

【買う? 売る?】
ここは買いなのか売りなのかという問いは、トレーダーの視点ではそれなりの回答があると思いますが、資産運用的には「それは現在保有している資産の内容による」としか言いようがありません。もし株式を全く持っていないというのであれば、ここからでも少しは買っておいた方がいいよ、とアドバイスするでしょう。個別に投資するのであれば、この局面でも上がっていない銘柄は色々とあるわけです。しかしもうそれなりに投資しているのであれば、売るべきものがあるかもしれませんね。やはり全体が急ピッチで上がっているので、私もどちらかと言えば売る方を中心に考えることになります。

そもそも売るつもりが全くなければ、株価が上昇しようが高値更新しようが全く関係ありません。株価が高くなって利益が出ていると言っても、それは評価益にすぎないということを、ぜひお忘れなく。ひどく心配するほど高いわけではないので、ここでは何もせず放っておいても構わないと思います。

売ってしまえばリスクがなくなって安心だ、という考え方は、現金を使うあてがあるならともかく、そうでなければあまり感心しません。もう二度と買い戻すつもりがないとか、再び買えなくても後悔しないとかいうものを売るのは良いと思いますが、一旦売って下がったらまた買おう、ということなら、私は売らずに放っておきます。思惑通り株価が下がって上手に買い戻して得られる利益と、思惑通りに下がらなかった場合の逸失利益のどちらが大きくなるか、そんなことを予想しようと思わないからです。一旦売ったものを、売値より高く買う、という決断をするのはなかなかエネルギーの要るものです。

そんなわけで私は、もう買い戻さなくてもいいと思う銘柄を選んでいくらか売る、ということになるわけです。上がり過ぎたものを減らすのも一つですが、ずっと売りたくて我慢していた銘柄、というのもあります。どうせ売るなら高い時に売りたいですからね。そのほかに考慮することがあるとすれば、課税される利益の有無でしょうか。そうなると、同じ売るなら課税されないNISA口座優先・・・ということになるかもしれませんね。

NISAという制度ができた時には、個人投資家に長期保有をさせよう、という意図があったと思うのですが、お役所の思う以上の長期を視野に投資している個人投資家からすれば、現在のNISAなどというのは、保有期間を縮める要因にしかなりません。(苦笑)



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外貨を持たなくちゃならない? [投資スタイル]

先週末、「経ママサロン」を開催しました。
これは私の主宰している「経済に強いママを増やす会」で不定期に開催している、口コミベースのゆる~いセミナーです。
この日のお題は「個人型確定拠出年金(iDeco)」がメインで、経ママ仲間の岩城さんにお話ししていただいたのですが、そこから資産運用の色んな面に話は発展しました。その一つに「分散投資」、特に外貨分散、という話がありました。

教科書的な話をすれば、資産はできるだけ広く分散すべきで、当然外貨も持つべき、ということになります。聞かれれば私もそう答えるでしょう。しかし今現在、自分の資産に外貨を持っていない人は、たくさんいらっしゃると思います。資産運用について少し学んで、外貨を持つべきだ、と納得していただくのはよいのですが、あまり「外貨を持たなくちゃ」と、焦ることはないと思うのです。

このところ外貨建ての保険商品を勧める金融機関が多いと聞いていますが、どうみても大してお得ではない、というか全然お得ではない外貨建ての商品をつい買ってしまうのは、この「外貨を持たなくちゃ」、という意識からくる場合もあるのではないでしょうか。

外貨を持つということは、為替変動のリスクを引き受ける、ということです。最近は世界中低金利で、魅力的なほどの金利差を得られる機会も減りました。リターンが生まれるのは、主に円安になった場合です。逆に円高になれば損をするわけです。

さて、もしあなたが外貨を持っていない状態で円安になってしまったら、あなたは「ああ、外貨でとれたはずの利益を取り損なった」と思うでしょう。一方、外貨を持った状態で円高になってしまった場合、あなたはストレートに「損した!」と思うわけです。同じ損をするのでも、両者の感じ方はかなり違うのではないでしょうか。あなたが非常にソフィスティケイトされてグローバルな感覚を持った人物であっても、日本に住み、日本円で生活している限り、外貨で取り損なった得べかりし利益と、円建てて減ってしまった自分の資産を、同じ気持ちで感じることはなかなかできないと思います。

ですから私はいつも、外貨を持つのはいいけれど、ホームバイアス(自国資産を多く持つこと)大いに結構、と言います。自分でよくわかり、情報も豊富にある自国資産を多く持つことは決して間違っていません。近くにあってよくわかるものと、地球の裏側にあって何が起きているかわからない資産は、決して同列ではありません。

日本人として日本にずっと住んでいると、日本の悪いところは非常に目につきます。人口構成の問題、財政赤字や巨額の国家債務、企業の不正、国際競争力の劣化・・・。そこへ持ってきて外貨に分散投資せよ、と言われれば、外貨、外貨、と焦ってしまうかもしれません。しかし、外国に住めばこんどはその国の悪いところも見えてきます。どの国も地域も、それなりに色々な問題を抱えています。

現状の円の評価は、正しいかどうかは別にして、何か不穏な出来事があれば、世界中の人が日本円を買う、という状態にあります。不安なのは、何も日本人だけではないのです。また、外国為替の理論値は原則として、物価の上昇しがちな国の通貨が安くなります。ここで将来の物価動向を予測するつもりはありませんが、日本の物価が他国を大きく引き離して上昇する、という経済状態は、まだ当分の間起きないのではないかと私は思います。

私も外貨資産を持っていますし、海外に投資することを否定するつもりはさらさらありません。ただ、外貨に分散しなきゃ、と思うあまり、お得でもない外貨商品を買ってしまうくらいなら、円資産の上にどっかりと落ち着いていた方が良いと思いますよ、というお話でした。

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株しかない? [株式投資色々]

株価が高値を付けているからなのか、最近ネットで「株しかない」という本の広告を見かけて、またまた煽るようなタイトルつけるんだから、いやになっちゃうわ、と思ったのですが、考えてみると私も同じようなことを言っているんですね。先日も友人から、老後に備えての相談事。よくある類の質問でしょうが、「減らしたくはないんだけど、どうしたらいい?」と。(ちなみにその書物は読んだわけではないので、内容については全く存じません。単なるタイトルの印象。)

減らしたくないけど増やしたい。ご要望に沿いたいのはやまやまですが、今、元本保証がありながら、資産が増えるほどの金利がつくものは、はっきり言いますが、無いわけです。それをはっきり言いたくないものだから、アイデアを絞って色んな金融商品が考え出されているのでしょうが、そういうものは無い、というのが基本です。国債や銀行預金の金利がかぎりなくゼロに近い時、何をどうこねくり回しても、無から有は生まれないのです。

金融収益というのはリスクに応じた金利です。金融業というのはリスクに金利という値段をつける仕事、と言ってもいいと思います。金利という形の値段も、ほかのものと同じように市場で決まりますから、同じだけのリスクには、同じ値段しか付きません。減らしたくない、銀行預金や国債と同じように元本を保証してほしい、と思えば、それにつく金利も同じようなレベルになります。それをごまかすために色々な工夫をすれば、それだけコストもかかるはずですし、金利に応じたリスクをどこかでとっているはずなのです。

ちょっとの間も減らしたくないならば、増やそうと思ってはいけません。「減らしたくないんだけど」…という相談に対する答えは「銀行預金か国債」ということになります。現状、個人向け国債で0.05%ですから、これをどう割り振ってもほとんど何も起こりません。それは嫌だというならば、投資信託も含め「株式を買うしかないんじゃない?」と私も答えるでしょう。もちろん、人によって、何のリスクをとりたいかは違います。外国為替がいいとか、不動産がいいとか、いろいろあるでしょう。個人的には「株式がいいんじゃない?」と思いますが。



ご参考→ 株式は債権より儲かるのか、というお話
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悪い話が出た時は [株式の個別銘柄]

ここで個別の銘柄をとり上げることなんて、そう頻繁にはやっていないにもかかわらず、日産の配当利回りについて書いた直後に大規模なリコールのニュース。リコールは車には付き物だとはいうものの、あまり気分のいいものではありません。悪いニュースには違いありませんから。

以前から書いていることですが、株式を保有したら、気にするのは配当が減ることだけ。株価が下がることを心配するのではなく、配当が減ることだけを心配するのです。だからこういう悪いニュースが飛び込んできた時も、それによって配当が減るかどうかだけを考えるわけです。

新聞記事によれば、リコールにかかる費用は250億円以上とのこと。「以上」というのは気になりますが、さすがに見込みの5倍や10倍に膨らむようなことはないでしょう。リコール以前の会社発表では、今期の純利益は5350億円、これに対して費用が250億で済めば、純利益の4.6%ということになります。その倍に膨らんだならば9.2%、1割弱ですね。そのくらい見積もっておけばとりあえず保守的と言ってよいでしょう。

さて、純利益が1割これによって吹き飛ぶとして、配当には影響があるでしょうか。日産自動車の配当性向は、先ほどの予想純利益5350億円に対して38.7%、これは、一株当たりの予想配当=53円 を、一株当たり純利益=136.8円 で割って算出します。つまり純利益の4割弱が配当に回っているということです。ということは、純利益が1割減っても、配当を減らす必要はありません。

それでも配当が減るとすれば、それは今回のリコールが、今後長きにわたって悪影響を及ぼすという判断をする場合でしょう。今回の事例を新聞等で読む限り、製品自体に欠陥があったというわけではなく、製品の検査に際して法令順守を怠ったということです。今後は製品検査の体制を改善しなくてはいけませんが、それは会社として当然のこと。適切な対処を期待してもよいと思います。

ただ、会社がコンプライアンスに甘い体質である、という印象は残りますね。それで会社の評価が低くなるということはあり得ます。ここで甘ければ、ほかで似たような失敗をしているかもしれない、という発想にもつながります。実際に似たような失敗が起こり、配当を減らさざるを得ないようなダメージがあれば、そこで初めて、この投資は失敗だったかな、ということになります。印象の悪化のみで株価が下がれば配当利回りはもっと高くなるので、投資額は増やすのが正しい、ということになりますね。

そんなことを考えながら、投資するのかしないのか、増やすのか減らすのか、…どちらの答えが正しいというものではありません。自分がどういう期待を持って、どんなリスクをとって投資判断しているのか、ということが大切です。


ご参考 私流 株式投資

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日産自動車の配当利回り [株式の個別銘柄]

2~3日前、株式関連の番組で、視聴者の投稿なのか、ジェレミー・シーゲルの「株式投資の未来」を読んだら配当を重視して株式投資すると書いてあってショックを受けた、という話をしていました。投資の意味が全く分からないまま投資している人が、相変わらず多いということなのでしょう。お陰さまで、それほどハイリスクでもないのに配当利回りが高くてハイリターンな投資対象が、今も放置されているわけです。皆が配当を重視して投資するようになったら、こうはいかないかもしれません・

現在の株式市場で、誰もが知っているような大企業で最も配当利回りが高いのは、多分日産自動車じゃないかと思います。会社発表の今期配当で計算して、現時点で4.6%です。どうしてこんなに高いのでしょうか。投資家が配当を重視しないからと言っても、いくらなんでもねえ、と私は思うのです。そこで、こんなにも配当利回りが高いのはどうしてか、理由を色々とつけてみました。

理由をつける前に、まず業績を見てみると、減益ではありますが、売り上げが減るわけではないし、そもそも配当性向が低かったこともあり、配当を予定通り支払うのに全く支障はなさそうです。しかも増配です。会社予想が53円/株のところ、四季報では53-59円ということですから、会社発表よりも多いかも、と予想しているわけで、上限の59円もらえたら、利回り5.1%です。すごい!

ここ数年の配当の推移を見ると、かなりのペースの増え方です。四季報のページで見られるのは4期前までですが、その時30円ですから、今期53円として、年15%のペースで伸びてきているわけです。この増配のスピードが速い、ということが高配当利回りの要因の一つでしょう。株価が増配ペースについてきていない。業績がそんなに伸びていませんからね。株式市場はいつのころからなのか、もうずっと成長志向なので、どうしても売上や利益に反応します。日産の業績も悪くはありませんが、今後もずっと伸び続けると簡単に予想してくれるほど、マーケットは甘くありません。

さて、まず「自動車」という業種。このところEV(電気自動車)や自動運転技術の話題が盛んです。技術的な革新が起こりそうな予感に、投資家も浮足立っているといった感がありますね。その中で既存の自動車会社は攻め込まれる立場にあるわけです。台数の普及も地域によってはまだまだ進むと思われますが、それよりも技術革新で苦境に立たされるのではないかという思惑の方が強く働いているようです。それを反映してか、日産に限らず自動車メーカーの配当利回りは全般に高めです。

未来の車がどうなるか、そして既存のメーカーの立ち位置がどうなるか、あまり正確に見通せるとは考えないほうが身のためです。予想については謙虚に参りましょう。現在のマーケットの見方は、少し既存のメーカーに厳しすぎるような気がしますが、どうなんでしょうね。自動車というのは、なにしろ家電などと違って人命を預かるものですから、動力系の変化だけですべての勢力図が変わる、というものでもない可能性はあります。また、電気自動車には電力が必要だということも忘れてはいけません。巨大な人口を抱える中国もインドも、発電には環境問題やインフラの問題を抱えていますよね。大きく勢力図が変わるにしても、時間がかかることはほぼ確実なのでは、と思います。

それから「日産」という会社への評価。超長期的なスパンで見れば、最先発のメーカーではあったものの、トヨタをはじめとする後発のライバルに追い上げられ、追い越され、記憶にある限りずっと右肩下がりの会社、というイメージです。バブル後日本経済が低迷すると、経営は潰れそうなところまで悪化して、仏ルノーの傘下に下りました。そんな会社ですから、基礎となる評価はどうしても低くなりがちなのです。また、規模も非常に大きいので、簡単に変われるとも思ってもらえないでしょうね。株価の評価というのはどの業種でも、そう簡単にランクが変わったりはしないものです。

日産の場合、もう外資系ですから、海外自動車メーカーの配当利回りの影響が同業他社より大きい可能性もあります。業種が当然同じですから、海外メーカーだって同じように厳しく見られているわけです。親会社のルノーは3.8%とのことですが、ドイツ車は、スキャンダル渦中にあったVWはともかく、BMWもダイムラーも4%台です。アメリカ車、GMは3.8%、フォードは5%に載っています。(データはいずれもBloombergより。) その中で4.6%のNissan、というのは、しっくりくるというべきかもしれません。

こうして見てくると、日産の4.6%というのは、特におかしな値ではない。他の日本メーカーとのバランスで、もう少し低くてもいいのかもしれないけれど、国外に目を向けると、そんなに下がらないかもしれない。つまり、配当利回りが高いという理由で株価が上がるということにはそれほど期待せず、この高い利回りを目的に買う、ということなら良さそうです。もちろん、業績が伸びて配当も増えれば株価は上がるでしょうね。この配当利回りの水準は、国際的に見ても高い方ですから。



ご参考 → 私流 株式投資

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