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ピンと来る「リスク」の説明とは [セミナー企画]

昨日は「良質な金融商品を育てる会(通称フォスター・フォーラム)」が主催する金融セミナーで、講師をさせていただきました。初心者向け、と銘打って、自分は金融に疎いと感じている方に、金融機関の敷居をまたぐ前にこのくらいは知っていてほしい、というお話です。

聴衆は20人弱、「真水」の参加人数はその3分の1くらいでしょうか。金融教育に関心があって、ご自分でも教える側の活動に携わりたい、という方が聴きにいらっしゃるパターンも多いので。こういう企画は、常に集客が大変です。間違いなく必要とされている、とは思うものの、本当に必要な人々に情報が届くのは、なかなか難しいものです。

常識問題から始まって、債券・株式・投資信託といった基本的な商品についての知識。中でも一番工夫のし甲斐があるのは、「リスク」の説明です。投資資産運用において、「リスク」を理解することこそが真髄であると思います。巷にリスクについての解説は色々とありますが、普通なかなかピンと来ない、というのが正直なところではないでしょうか。

難しいのは、全ての事象が、起きる前は不確実であった、ということを、起きた後ではイメージできなくなるからではないかと思うのです。株式を買って損をしたら、「リスクの高いものを買ってしまったなあ」と感じることができますが、株価が上がっていい思いをしたら、同じように「リスクの高いものを買ったから、こんなに儲けることができたんだなあ」なんて、感じることができるでしょうか。プロはもちろん、それができてなくちゃいけないんですけれどね。

「リスク」を訳すと、どういう日本語が一番適切なのでしょう、という質問をいただきました。「変動幅」と説明する人がいるけれど、どうなのでしょう、と。確かに変動幅もリスクという表現に含まれますが、それは証券理論上の定義であって、「リスク」自体はもっと広い概念です。ぴったりの日本語は、現時点では存在しないかもしれませんが、あえて言えば「不確実性」、要は「どうなるか分からないこと」がリスクである、と言ってよいと思います。

そう、不確実だから、リスクがあるんです。必ず損する、と分かっているものはリスクがゼロなんですよ。そういうものは買わないから、絶対損しません。得すると思うから買うのですし、それが思い通りに行かないときに損するのです。リスクを解説しようと思うと、何だか禅問答みたいになってしまいますね。覚えておいてほしいのは、リスクの高いものは往々にして、とても得をしそうな姿で現れる、ということです、とお話しました。少しはピンと来ていただけたでしょうか?



岩城さんの新著、「お金」の考え方…積立投資には意味がないって? [投資スタイル]

お友達の岩城さんが本を出されたので、思ったことをメモしておきます。どこからどこまでが本のタイトルなのかよくわからないんですが、
そこ、ハッキリ答えてください!『お金』の考え方 このままでいいのか心配です。

山崎元氏との対談という形で、お金の絡むよろず身の上相談といったところ。男の価値観と女の価値観の対比を意識させられます。男っぽい考え方と女っぽい考え方を線で結んだならば、私の価値観はその中心より若干男寄りにあるような…。実際日ごろ多用しているフェイスブックなどは私を男だと思っているらしく、携帯端末の通信状態が悪くてプロフィール写真の表示が間に合わないときには、男のシルエットが現れるんですよ。

話がそれましたが、夫婦の関係に、金遣いや貯蓄、保険や投資といったお金の事情がどう絡むのか、というあたりが、この対談の面白さでしょう。具体的な事例が次々出て来て、話に親近感が湧きます。「必要貯蓄率」という指標は便利ですね。入る必要のない保険の話などは個人的にとても参考になりました。

投資に関しては、前々から山崎さんの書いてらっしゃる記事をネット上などで見かけて、どうも私とは話が合わないようだと思っていたのですが、やはり賛成できかねる部分は色々とありますね。ここで初めて見るわけではありませんが、積立投資に意味はない、という議論。岩城さんも喰い下がって聞いていらっしゃいますが、結局分かりやすい説明はいただけてない印象です。それもそのはず、積立投資は合理的だから。それを愚かな大衆の信じる民間療法のようにおっしゃっていることについては、はっきりと異を唱えさせていただきます。

これを読んで多くの個人投資家に迷いが生じるとすれば、困ったことだと思いますね。山崎氏の説を信じるのは自由ですが、それは少数派。積立投資は私だけではなく、多くのもっと立派な専門家の皆さんも推奨している方法です。常識のウソを暴く、みたいなことは、ちょっとしたエクスタシーでしょうから水を差すのも気が引けますが、やはり常識のほうが正しいと思います。

でも、山崎さんはなぜ積立投資に意味がない、とおっしゃるのでしょう。それだけではなく、歳をとってもポートフォリオを保守化させる必要なんかない、ということもおっしゃってますね。これも「常識のウソを暴く」式の議論ですが、根拠が十分にあるとは思えません。その理由、一冊通して読んでみると、何となく分かったような気がします。

山崎さんにとっては、どうやら株式投資は所詮ギャンブル、株式で資産運用するなんて本気では考えていない、ということではないでしょうか。資産形成はほぼすべて、現金債券でひたすら貯める。あとは遊びで株式を乗っける、という発想。そう考えると、おっしゃってること皆、辻褄が合います。

そうであれば、資産全体の規模にもよりますが、株式なんて資産のほんの一部、せいぜい1割、多くても3割程度を振り向けるに留まります。もう必要な金額は揃った、あとはおまけのリターン、というならば、一気にリスクを取ってしまえばよいのです。文字どおり必要な現金は既にあるのですから、リスクを取ると決めた額から現金をわざわざ残す必要はありません。全部株式に振り向けても、大した額ではないのですから構わないのです。

個人の資産形成を株式中心にやる、ということは、資産の半分でも7割でも株式で保有する、ということです。株式でギャンブルすることではありません。ご飯にかかっているふりかけではなく、白米そのものなのです。資産の大きな部分が株式であれば、高齢になるにしたがって減らす必要はもちろん出て来ます。生活するのは現金ですから、現金化する時に価値が大きく下がっていると困ります。現金は十分あるという人が、株式投資で遊んでいるのとはわけが違うのです。

そして個人の資産運用がベンチマークとするのは、常にインフレ率です。インフレ率を上回る資産成長が目標なのです。一気に買わなかったために、株式インデックスに大きく後れを取ってしまっても、別に気にすることはありません。そこが機関投資家とは違うんですね。個人はプロの投資家より劣っているのではなく、ベンチマークも目的も違うのですから、インデックス=ベンチマーク、という発想の身についた機関投資家の真似をする必要はないのです。山崎さんのおっしゃる「その時々で最適な額」はインフレ率に負けないパフォーマンスを実現する額ですから、案外小さいのです。ふりかけは一気にかけてしまってもいいけれど、白米はじっくり時間をかけて炊かねばなりません。

長期投資を信じるのをやめなさい、というアドバイスも、同じ文脈で理解できます。おっしゃる通り、長期投資だからリスクが低いというような言説は間違いです。期間が長期にわたれば、むしろリスクは高くなるとも言えます。長期投資を標榜するのは、それこそ株式を中心とした資産形成の考え方で、株式は高くなることも安くなることもある、短期間の結果で判断するのは意味がない、ということにすぎません。そして、たとえ今安くても、長い目で見れば十分挽回するチャンスはある。逆に今好調でも、悪い日も来るから心せよ、というわけです。だから、株式が主役なんて考えられない、という向きには長期投資の意味はあまりないのでしょう。

お金の話もさることながら、転職相談やキャリアプランのアドバイスは、興味深く読みました。人それぞれの人生ですから、こうしたらいい、ということはなかなか言えないでしょうけれど、要は合理的に、冷静に、計画性を持って、ということ。ファイナンシャル・プランニングと同じですね。

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実際に銘柄を選ぶとき [投資スタイル]

実際に銘柄をどうやって選ぶのか、というお話。

こうやるのがいい、という正解はないのでして、自分に合ったやり方で選べばよいのです。そこでとりあえず、私はどうやっているのかというと、案外原始的に、四季報を見ています。昔ながらの紙媒体の1冊2000円ぐらいする四季報です。ネット上ではスクリーニング機能が使えたりもするのでしょうが、余計なものがたくさん引っかかって来て効率が上がらないんですね。完全にアナログですが、使い慣れてるものがやっぱりいいみたい。

文字通りパラパラと眺めるわけです。ページの一番上に3年分くらいの株価チャートが載っていますから、それで結構イメージが掴めます。安定的に成長している優良な会社は、何だかんだ言っても株価は右肩上がりです。業種ごとに並んでいるから、循環的に買われている業種、売られている業種も分かります。そんな中から目についたものを少し詳しく見ていくわけです。

株価が右肩上がりの美しい姿のものは、やはり要チェック優良な成長企業であることが多いので、収益性と成長性を中心に見ます。売上の成長度合い、利益率とその安定度、RoE(自己資本利益率)等々。良い企業はそうそう安くはないでしょうから、株価が少々割高でも仕方ありません。でも収益性、成長性を勘案して、妥協できないと思えば投資対象外です。主要な優良企業は長年やっているとさすがに頭に入っていますが、それでも、知らないうちにパッとしなかった企業が優良企業に生まれ変わっていたり、優良だと思っていたものがダメになっていたりということは、結構あるものです。

優良成長企業とまでは言えなくても、しっかり配当を払ってもらえるならば、私は文句は言いません。そこで当然ですが、配当利回りの高いものを探します。最近でいえば、3%ぐらいあれば投資対象として十分行けますね。そうやって挙がってくるものは、いわゆる割安株ということになります。

割安株の指標といえば、PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)などはよく知られていると思いますが、配当利回りが一番確実、と私は思っています。何しろ半年か1年ごとに現金で入ってくるんですから。それなのに代表的な指標として重視されないというのは、1年以下の短期指向の投資家が多いから、またはそういう投資家しか証券会社が相手にしないからなのでしょうね。

配当利回りが高い場合、それが異常値じゃないかどうか、記念配当で一回限りじゃないかどうか、または事業環境が悪化して大幅減益、減配が予想されていないかどうか、というあたりを調べます。(原油価格が急落した時の商社株なんかそうですね。)配当性向も気にします。日本の会社は一般に配当性向を低めにして、業績が悪い時も減配せずに済むようにしたい、というケースが多いようで、それが良いことかどうかはともかく、配当の安定には寄与します。逆にいえば、一株当たり利益ぎりぎりまで配当しちゃってると、減配の可能性は高くなります。

と、この辺までは、基本的には数字だけ見ながら、四季報に付箋をひっつけていきます。その後、事業内容を見ながら、よさそうだと思う企業のIR(投資家向け情報)サイトへ行ってみます。IRの仕方は各社各様で、どこから見てもいいわけですが、私は財務データから始めます。売上、利益、資本比率、キャッシュフローなど主要なものが最低でも5年分は見つかるはず。財務指標として載っていなくても、有価証券報告書が載っているでしょうから、その中にあります。

ただ私としては、過去10年ぐらいの業績を見ないと、投資する気になれません。先日は任天堂のIRサイトに、1980年代前半から30年分以上も、売上と利益のデータが載っているのを見て驚きました。ここまで長いのは珍しいと思いますけれど、長期のデータはとても参考になります。IRのしっかりした会社なら、見やすい形で10年分くらいは載せているでしょうし、一覧表になっていなくても、決算短信や有価証券報告書が遡って見られるようなら、数字を抜き出して並べてみることはできます。

投資家への情報開示の姿勢も、会社の良し悪しを図る指標と言ってよいでしょう。当然、見やすければ印象はいいですよね。まあ大企業であれば、情報開示だけはしっかりしている、なんてこともあるかもしれませんけれど。一方、中小型株を発掘しようと思ったら、この辺りはあまり気にしなくていいのかもしれません。ただそれでも、10年くらいの過去は遡りたいものです。景気のサイクルは5年では回りませんからね。今であれば、リーマンショックの時にどこまで落ち込んだのか、分かると分からないでは大違いです。過去10年ならばリーマンショック直前のピークも分かるので、アベノミクス後の回復が、過去のトレンドの上にあるのかそこまで行っていないのかも分かります。

IRサイトで手に入らないような細かいデータや、足したり引いたり加工が必要な指標は、私はほとんど使いません。自分のための投資にそこまで労力をかける必要はないと思っています。尤もやってみればいろんなことが分かって楽しいかもしれませんので、今後も絶対やらないとは申しませんが。

こうして業績が安定しているかどうか、伸びているかどうか、といったことが分かってきたら、事業内容や企業理念、経営計画等々、文字の情報を見に行きます。これについては何を見るべきか、千差万別ですね。役に立つものも立たないものもあります。結構アニュアルレポートを見たりもします。IR以外のメディアも利用します。Wikipediaも案外参考になります。こうしたものを読んでいるうちに、その会社のことが気に入ったり、好きになれなかったり。

そんなことをしながら、以前「私流 株式投資」で書いたように、「配当金額が長期にわたって増えていく確率はどのくらいだろう」と考えるのです。かなりの確率で配当が増えていくと思えば、現状の配当利回りがそれほど高くなくても、よい投資になるでしょう。逆に、配当利回りが高くて事業が安定していれば、配当が増えていくことを特に期待できなくても、それはそれでよい投資です。成長しない企業であれば、株価が高くなった時に売る、という選択も出て来ます。

いわゆる成長株投資を全くやるまい、と思っているわけではありませんが、成長性を予想するのは非常に難しいのです。特に何らかのテクノロジーをベースにした事業の場合、テクノロジーの評価をせねばならない。それははっきり言って無理。新しいテクノロジーや産業分野であれば、未来も明るいと同時に、競争も非常に厳しいでしょう。夢を見てする投資ならば、宝くじでも買うつもりで。ただ、外れてもなかなかゼロにはなりませんから、宝くじよりはずっといいでしょう。

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個別株投資の奨め ~投機ではなく [投資スタイル]

一般的に、アクティブ投信はインデックス投信に勝てない、ということになっています。数字を集めて平均を取ると、インデックス投信のほうが成績よいというわけ。その理由は色々と考えられるのですけれど、この事実をもってして、個人のアクティブ投資を否定する理由には全くならないでしょう。

アクティブ投信が不利な理由の一つは、インデックスよりはるかに高い手数料です。私だって、高い手数料を払うのは出来れば避けたい、そんなことは当たり前です。ただ、インデックスに投資するには投信を利用するしかないけれど、アクティブ投資ならば投信を買わずに個別株を買ってもいいわけです。昨今はNISA導入のお陰さまもあって、最低単位百万円以下は当然、50万円ぐらいで買える銘柄もかなりたくさんありますから、個人でもそこそこの銘柄数を持つことは可能なはずです。

インデックス投信は、株なんかたいして興味ない、という人にはとても良い商品だと思います。コストが安いって最強。…では運用手法としては、インデックスってどうなんでしょう。

たいていのインデックスは、時価総額ウェイトでできています。多分一番客観的ですし、基本的に放っておけばいい方法ですから、コストを安く、という目的にもかなっています。ただ、それ以外に特に意味はないとも言える。時価総額ウェイトで買う、ということは、高くなったものは高いまま、安くなったものは安いまま買うってことです。一つの銘柄を時系列で眺めれば、その銘柄が相対的に一番高くなったところで一番たくさん買い、一番安くなったところでは一番少なく買うことになります。

これ、アクティブ・ファンドのマネージャーだったら、とってもへたくそなはずですよね。そんな運用をしているインデックスファンドに勝てないとしたら、何とも情けない話です。現実は色々と、ファンドマネージャーにも同情すべき事情があるわけですが、その話はまた別の機会にするとして、ともかく少しでも資産が増えるように、ということだけをまじめに考えて運用すれば、インデックスより良い運用ができて当たり前じゃないか、と思ったりするわけです。

時価総額ウェイトという手法は、保有比率が客観的に細かい数字まで計算できますから、よく知らない人にはすごくサイエンティフィックで確かな運用手法に見えるのかもしれません。ポートフォリオを地域分散する時も、「日本株は3割くらいで」というよりも、「時価総額ウェイトで8.5%です」とかいう方が、なんだかカッコいいですよね?

パブリックな存在である投資信託は、客観的であることも重要な意味があるでしょう。でも個々人にとっては、自分で納得のいく自分だけのポートフォリオがあればよいのです。自分がいいと思えば、それが正しいポートフォリオ。誰に言い訳する必要もありません。

もう一つ付け加えると、例えばTOPIXなどは、全ての株式を自動的に含むので、かなり純粋なパッシブかもしれませんが、多くのインデックスは、時々銘柄の入れ替えを行っています。そういう意味では、一定の基準に基づいたアクティブ投資の側面もあるわけです。銘柄選定にあたっても客観性が重視されますから、だれが見てもOK、という選択になる傾向があるはずです。これもアクティブ運用としては、決して上手いとは言えませんね。

アメリカのSP指数で、過去の銘柄入れ替えを遡って、もし入れ替えていなかったらパフォーマンスはどうだったか、という試算を見たことがあります。入れ替えたことでパフォーマンスが悪くなっている、という結果でした。新しい企業など、世間に認められてある程度大きくなったものが選ばれ、将来性が無さそうだ、ということで安くなったものを外すわけですから、まさにアクティブ運用をしているわけですね。

インデックスというのは、市場全体を客観的に代表することが目的で、良いパフォーマンスを上げることが目的ではありませんから、こうしたインデックスの運用を批判するつもりは全くないのです。申し上げたいのは、インデックス投資が、運用手法として別に優れているわけじゃあない、ということなのです。

もちろん、アクティブ運用で優れた投資信託を探すという方法もありますが、今や一般の個人でも、プロのアナリストに負けないくらい、情報を手にすることができる時代です。興味と関心のある個人投資家は、リスクについてよく理解したうえで、個別株の投資にもぜひ挑戦してほしいですねえ。厚みのある投資家層の存在こそ、よりよく機能する健全な株式市場を支えるのだ、と信じています。


念のため、アクティブ運用とは→ http://www.toushin.com/faq/invest-faq/active/
解説を載せているサイトはいくつもありますが、これが分かりやすいかな。
「要は、人間の判断による運用、ということです。」



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「つま恋」を卒業したヤマハ [株式の個別銘柄]

先日新聞で、ヤマハがつま恋のリゾートの営業を終了、負の遺産の処理にめどをつけた、との記事を目にしました。

90年代に行った、小樽近くのキロロリゾートを思い出します。「ピアノ」というヤマハそのものみたいなネーミングの、洒落たホテルがありました。もう、バブルに引っかかった会社の典型みたいなイメージ。

ヤマハと言えば、楽器メーカーでありながら、テニスラケットやスキー板でもメジャーブランドでした。学生時代は本チャンのテニス部でフタバヤのウッドなんか使っていた私からすると、あのカラフルでビンビンと響くようなラケットは、思いっきり邪道な感じがしたものですが、テニス・スキーと言えば、当時は紛れもなく若者の間で最も人気のあったスポーツ。ヤマハは親近感のあるブランドでもありました。

ただ企業としては、とりとめなく多角化していました。住宅バブルの頃は、システムキッチンを手掛ける「住宅関連」でもありましたし、日本と言えばテクノロジー、と言われた時代は、音源ICを中心とする電子部品メーカーという顔もありました。

楽器メーカーとしてのヤマハには、昔から敬意を抱いています。ウィーンフィル特注の管楽器をヤマハだけが作っているなんて、なんだか素敵じゃないですか。そんな数が少なくて手のかかる商品は、採算が良いとはとても思えませんが、こんな素敵なことをやっているんだから、その分少しばかり利益率が低くったって、それは許せるんです。が、せっかく立派な楽器メーカーなのに、その他の周辺的な事業のせいで、とても投資対象にはならない会社でした。

私自身はいわゆるポプコンのファンというわけではないので、つま恋に特別な感慨はありませんが、ヤマハという会社にとってはその歴史の重要な部分とも言えるでしょう。今現在のヤマハは良くなっているのかしら、と思って財務データを見てみました。

現状の諸々の数字、営業利益率9%台、ROEで10%というのは、一応及第点といったところ。わざわざ投資するほどの魅力はありません。過去10年の財務データがアニュアルレポートの中にあったので、それを眺めてみますと、少し風景が変わってきます。

直近の決算期の売り上げは、リーマンショック前のピークには未だ2割ほど及びません。でも、各レベルでコストが減っていて、営業利益はリーマン前ピーク(売り上げピークの翌年)を24%上回っています。営業利益率は6%から9%台へ。財務体質は元々保守的で、それほど変わらないまま、全体が小さくなっています。その結果のROE10.3%、これはリーマンショッ、ク前からそれほど変わっていないように見えますが、当時は営業外の利益が色々とあったようで純利益が膨らんでいますので、それに比べると現状のROEは、「本業」の力をよりよく示すものと言えそうです。

Wikipediaでヤマハなどの項目を見ると、スポーツ事業は2002年までに、ゴルフを除いてすべて撤退、住宅関連は2005年には受注・生産を終了し、2010年に実質的に経営から撤退、とあります。冒頭に述べたキロロリゾートは2007年に、他のいくつかのリゾートとともに三井不動産系列に売却されたとのこと、つま恋も終了となった後は、ゴルフ場が一つだけ残っているようですね。

現在走っている中期計画は、3年後の営業利益率が12%とか、ROE10%とか、すごく意欲的というより、ペースを守って着実に、ということでしょう。足元の業績動向を決算短信でチェックすると、事業の中心である楽器が堅調であるというのが良いですね。新製品効果で売り上げのぶれたエレクトーン以外、すべての品目で伸びているというのは、健全な印象で安心感を覚えます。音楽教室事業の譲渡など、構造改革は続いているようで、今期の見通しは減収増益です。

株価はアベノミクス以降順調。市場全体が停滞してからも上昇基調が続き、過去2年ほどはかなりアウトパーフォームしています。収益体質の改善は、もうそれなりに評価されているようです。PEの13倍は市場平均並みですが、特別利益を除くと実質は多分18倍あたり。高い成長性を見込んでいるわけではないので、割安とは言えません。

配当利回りの1.6%も低いですね。配当性向は現在26%。経営計画で「30%以上を目指す」と打ち出していますが、負債もほとんどない財務体質ですし、それほど高成長でもないのだから、配当性向はもっと高いところを目指してほしいですね。配当は四季報の予想で52円ですが、もし80円出してくれると配当利回りが2.5%ぐらいになって、ようやく魅力が出て来ます。配当性向で45~50%くらいになるでしょうか。

配当利回りが2.5%になったら投資したい、ときっと思うでしょう。利益率が特に高いとは言えませんが、音楽文化の発展に貢献している会社ですから応援したいですね。会社の実態も漸く音楽を軸とした姿になりましたし、ウィーンフィル特注のホルンやトランペット、これからも作り続けてほしいと思います。

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任天堂の30年 [株式の個別銘柄]

この夏話題になった銘柄と言えば、やっぱりポケモンGOで株価が一気に倍になった任天堂。その後は下がったとはいえ、急騰前に比べれば、3~4割は高いところで落ち着いています。ポケモンGOによる収益貢献はそれほどない、という解説をしている記事が散見されますね。多分その通りなのでしょう。そうではあっても、株価はそれなりの効果を見込んでいるわけですね。「効果」というのは、売り上げや利益かもしれないし、単にブランドイメージが上がるだけかもしれない、そこのところはよくわかりません。

個人的に任天堂に投資する予定は全くないのですが、これだけ話題になったので、任天堂って今はどうなっているのかなと、IRのサイトを覗いてみました。

まず過去の業績を遡ってみよう、と「ヒストリカル・データ」を開いてみて、ちょっとびっくり。なんと売り上げと利益のデータが、1981年からずっと載っているんですね。エクセルになっているので、こんなグラフがちゃちゃっと出来ちゃう。P/Lだけなので詳しい財務分析はできないにせよ、これだけの長さを載せている会社は珍しいんじゃないでしょうか。IRに優れた会社でも、10年ていどが標準だと思います。

任天堂の売上.png

これを見て一口で言うと、任天堂って90年代半ばに成長の止まった会社、というイメージですね。いつ何を発売してたのか、Wikipediaで見てみると、最初のファミコンが1983年、この頃の売り上げ680億円から、1989年発売のゲームボーイも一緒になって、1993年の売り上げ6300億円まで、ほぼ一気に10倍弱に駆け上がるわけです。

その後もなんとなく新製品を出しつつ、しかし以前の成長軌道を取り戻すことはなく、2002年に岩田社長を迎え、2006年発売のWiiが大ヒット。すごいですね、売り上げは5000億円台から、3年間で約3.6倍。2009年3月期に1兆8000億を超えるところまで行ってピークアウトします。ヒット商品が出ると、こういうことになるんですね。ポケモンGOが大人気と聞いて、条件反射的に株価が倍になっちゃうって、なるほど、よくわかります。

リーマンショックの影響がどのくらいあったのかわかりませんが、売り上げは再びWii前の水準に。そして2012年以降は右肩下がりです。過去にも売り上げが下がる時期は何度もあったのですが、2012年以降は過去のケースと違って、赤字を出してます。過去の営業利益率を見るとほぼ20%台、悪い時も15%は超えていたのに、ここ数年は深刻なようですね。2014年度と2015年度は何とか黒字を確保してますから、頑張ってコスト削減したのでしょう。

残念ながら株価は30年も遡れる方法が思い当たらないのですが、20年までは、ゴールデン・チャート社のサイトで見ることができます。パッと見た感じは、ほとんどこの売り上げのグラフ通り。細かく見ると、売り上げの変化の倍ぐらいの幅で動いている感じではありますが、長い目で見ると、株価は案外まじめに売り上げ動向をフォローしてます。ただ、アベノミクスがスタートしてからの株価が緩やかに上昇傾向なのに、売り上げは美しく右肩下がりですね。

私が任天堂を買わないのは、ゲームに興味がないし、うちの子がゲームにハマってもらっては困ると思っているからです。多くの人がゲームを楽しんでハッピーな気持ちになっているんでしょうから、それはそれでいいんですが、自分として応援したい企業とは言えないのですね。だからちゃんと調べたこともないし、常識的な事しか知りません。それでもIRサイトとWikipediaとゴールデン・チャートのサイトだけでこれだけのことが分かるんですね。ほんと、個人投資家にとっていい時代です。

ゲームが売れるかどうかの予想はできませんが、一応株価の評価を。利益の水準が低いので、PEは80倍あたりで、箸にも棒にもかかりません。これですと利益を全部配当に回してくれても配当利回りは1.25%にしかなりません。長期的にみると純利益率15%ぐらいが標準的なので、頑張ってその水準まで戻しても、PEは30~40倍。やっぱり高いですね。ヒット商品が出るなりして、また成長軌道に載るということにでもなればまた別ですが。


タグ:任天堂
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岩井先生の経済教室 [市場と経済色々]

Facebookに書いたノート、せっかくだからこちらにも載せておきます。


頭の整理と復習のために。

昨日の日経新聞の経済教室は、岩井克人先生の「『株主主権論』の誤りを正せ」でした。格差の拡大という問題は、資本主義というシステムそのものに由来するものなのか、というテーマです。前半は、あの大ブームを巻き起こしたピケティの「21世紀の資本」を取り上げて、現実的に考えると、ピケティの結論では、資本主義そのものが格差を拡大させる傾向を持つとは言えない、というお話。

それではアメリカイギリスで起きていることは何なのか、というのが後半の議論。格差が極端に拡大しているのはこの両国で、その結果Brexitやトランプ現象が起こっていると考えられるわけです。

アメリカのケースで格差拡大の様相を詳しく見ると、実はピケティがいうような資本の利益成長よりも、経営者の報酬が急騰したのが大きな要因だということが分かる。で、どうしてそうなってしまったかという原因を「株主主権論」に求めています。つまり、会社は株主のものだから、株主のために資本収益率を高めることだけが経営者の仕事だ、という考え方に問題があるんじゃないか、ということ。そこで忘れられているのは経営者の「忠実義務」であると指摘しています。

この話は以前、「契約」と「信任」の問題としてレクチャーを聴いたことがあります。資本主義は、「損得」という単純な原理で動くという普遍性を持っていて、経済主体同士は「契約」で結ばれている。契約関係は、お互いが対等であることが重要だけれど、対等ではないケースがある。医者と患者の例が分かりやすいけれど、その場合両者は単なる「契約」関係ではない。そこには「信任」が無くてはならない。医者は自己の利益を追求するのではなく、患者のために最善を尽くす、という信任関係が無くてはいけないのだ。そして、実は資本主義の社会で、そういう対等ではない契約関係が、実はたくさんあるのではないか、という話。

さらに、その「対等ではない契約関係」の一つに、「会社という法人とその経営者の関係」も当てはなるのではないか、という話が出て来ます。経営者は会社という法人と契約を結んで雇われているわけですが、会社という法人は、経営者によって初めて経済主体として機能するのだから、会社と経営者は対等であろうはずがない。医者と患者のような信任関係、つまり本来経営者は、会社という法人のために最善を尽くす「忠実義務」を負っているのであって、自己利益の追求に走ってはいけないものなんだ、というのです。

対等じゃない主体同士が信任関係のない契約を結んでしまったから、資本主義が上手く機能しないのだ、だからその間違いのもとである「株主主権論」を手直しすれば、資本主義の未来にはまだ希望が持てるのだ、というのが昨日の話の結論。資本主義は、格差の拡大という病気を治せなくていつか死んでしまうのかと思ったけど、病気の原因が分かってよかった、みたいな感じで書いてありましたね。

どのように手直しすればいいのかという解決策は、まだわからないのです。会社は誰のものか、という議論にもなるでしょうし、ガバナンスの考え方にも影響してくるでしょう。日本企業はそもそも株主の権利が弱すぎて資本効率の低さが問題になっているわけですが、問題の所在がアメリカとは全然違うというのは明らかです。コーポレート・ガバナンスも、あまり英米の真似をしないほうがいいんじゃないでしょうか。



英Economist誌のアベノミクス評 [市場と経済色々]

もう最新号でもないので今さらではあるのだけれど、かのEconomist誌にこうして大きく取り上げられているわりには話題になっていないような気がして、ネット上を検索してみたら、やはりほとんど出て来ませんね。以下、一件だけ、要約を載せてる記事がありました。

「Overhyped, underappreciated (過剰宣伝、過小評価)が記事のタイトルです。このわずか 2 語で本文を表しています。うまい。 」

と、一言だけ論評してます。ふつうこれを読むと、「過剰宣伝」の印象が強く残るんじゃないでしょうか? 実際英語の原文を読むと、むしろ「過小評価」のほうに光を当てているような印象。

少なくとも私の読解力では、アベノミクスは結構評価されてます。ごくおおざっぱに要約すれば、アベノミクスはよくやってる。よくやってるけど、それでも日本の企業や消費者にお金を使わせることは、かくも困難な事なのだと。

特集記事は「日本って国はそもそも自分を卑下しがちなところがあるからね、」と書き出し、「デフレでこれだけ苦しんでるから、自分たちを過小評価し続けるのも無理はないけど」と同情したりして、さすがよくお分かりです。でも海外の目も、アベノミクスをちゃんと評価していないとも言ってます。

アベノミクスを非難するのは「too cynical」であり、安倍首相の取り組みは「no doubt sincere」であって、真の関心事が改憲であったからと言って、経済政策を非難する理由にはならない。そりゃ確かにインフレ率2%はまだ全く届かないかもしれない。でもアベノミクス以前と比べてごらんよ、雲泥の差だよ、と。他の先進国はex.エネルギーを物価指標としているのに、日本は原油価格も入ってしまっている。それを除けば緩やかとはいえ32カ月連続の上昇。同じ時期に豪、英、仏、独、伊、西、といった国々では物価が下がっていたのに。

雇用も増え、可処分所得も増えてる。でも問題は、使わないんですよねえ、個人も企業も。確かに賃金の上昇は遅れている。企業が賃金を上げるよう仕向けなくちゃいけない。貯めこんだお金を、投資しないのであれば株主還元させなくちゃいけない。だからアベノミクスがコーポレート・ガバナンスを打ち出したのはすごく正しい。日銀金融政策は、必ずしも思ったように行ってないかもしれないし、限界もある。でも企業ができることはもっともっとあるはずだ。国家の債務が膨れ上がってるのにまた28兆の公共事業。これだって、民間が使わないんだから、バランス上しょうがない。クラウディングアウトさえ起らないんだから。

改革という意味ではまだまだやることがある。それでもTPPは、政権発足時と比べれば大きな進展を見せた。雇用改革など、なかなか進んでいないようだが、そもそも日本人って、「kaikaku」より「kaizen」が好きな人々だからねえ。

・・・という具合に、改革が進まない原因は自分たちでしょ、とまで皮肉って見せたりして、アベノミクスを擁護する論調。企業や消費者が、アベノミクスの成功を信じてお金を使えば成功するんだけどねえ、というのが結論と言えば結論のようです。

世間一般の評価が低いからこそ書いた記事だと思うので、手放しで褒めているわけじゃありませんが、冷静に評価してね、という話です。

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私流 株式投資 [投資スタイル]

個人投資家のための、個別株投資
多分、巷の資産運用や株式投資指南書とはかなり違うことを書きますが、私としてはごく当たり前のやり方だと思っています。

株式投資といっても色んな目的や方法があるでしょうが、私は着実に資産を貯めていくことを目的に、長期的なスタンスで投資しています。短期売買はやりません。買ったら基本的には売りません。もう少し正確にいうと、売ることは結果的にはあるわけですが、売ることを最初から想定して買う、という投資はしていません。

配当利回りが基本

基本となる投資指標は「配当利回り」です。配当収入が、株式投資の基本と考えているからです。事業に投資しているのですから、事業から上がる収益の分け前を頂くのは当たり前のこと。この基本を守って投資しているのです。ゆったりと、長期にわたって資産を増やそうという運用スタイルとしては、これが最適だと思います。

昨今は低金利ですから、配当利回りはとても高いと言っていいと思います。銀行預金にも国債にも、雀の涙ほどしかつかない利息に比べて、2%や3%、うまくいけば4%以上も頂ける配当は非常にありがたい。もちろん配当は、投資先の事業から利益が出ていなければもらえません。ですから当然、その会社の事業が順調か、経営が良いかどうかといったことも大事な要素です。

株価の動きを気にしない

配当利回りを基準に投資し、買ったら当分の間売らない、という方針を決めると、株式投資はかなり楽になります。株価の動きを気にしなくていいからです。自分が受け取るのは配当ですから、株価が上がろうが下がろうが、配当がしっかり払われてさえいればそれでいいのです。ですから、投資家として考えなければならないのは、配当がちゃんと払われるかどうかだけ、といってもいいのです。

株価が上がって得をする、下がって損をする、と言いますが、それは持っているものを売った場合の話。売らずに持っているならば、それは評価益・評価損でしかありません。売るまで損も利益も出ないのです。株価が上がれば配当利回りが下がり、株価が下がれば配当利回りが上がる、それだけのことです。心配すべきは、株価が下がることではなく、配当が減ることなのです。

企業業績の「蓋然性」を考える

企業の業績を予想するということも、必要ないわけではありません。業績が悪ければ、配当だって減ってしまいます。成長する企業に投資すれば、株価が上がるだけでなく、配当金額も伸びていきます。

今年は業績がよさそうだとか、悪化しそうだとか、そういう短期的な視点は、株式を売買するときにはやはり気にしたほうが良いでしょう。どうせ買うなら安く、売るなら高く、と思うのは当然ですから。でも保有している間は、もっと長期的なことだけを考えていればよいのです。

ここで将来を予想するというのは、来年や再来年の売り上げを計算することではなく、企業が今後どうなる可能性が高いか、その蓋然性に思いをはせるということです。成長性についてならば、たとえば売上げや利益が今後3年で何%伸びるのか、そういう数字を当てることではなく、現在の配当金額が長期にわたって増えていく確率はどのくらいだろう? と考えるのです。

何%ぐらい成長するか、何割の確率でそうなるか。特に数字を求められないのが個人投資家のいいところです。高いか低いかその中間か、それだけ理解できれば私は満足。予想なんて、ごくおおざっぱなもので良いのです。細かくすればするほど当たらないんですから。

予想する方法は、これが絶対、というものなどありません。ただ必ず必要なのは、投資先の企業がどんな企業なのか理解すること。どんなビジネスで利益を得ているのか、どんな経営をしているのか、これらが分からなければ、先のことなど見当がつくはずもありません。あとは個人の知識や経験、日ごろの情報収集を活かすのみ。投資指標はいくつかの基本的なものを押さえておけば十分でしょう。

思いっきり好き嫌いを反映させる

これこそが、個人投資家の良いところです。プロの運用は、主要な銘柄であれば、嫌いだからと言って無視するわけにもいきません。でも個人は思いっきり好き嫌いで投資していいと思います。自分のお金ですよ。嫌いな会社に使われるなんて、まっぴら御免ではありませんか。

たとえば私は、ゲームの会社にはあまり投資しません。自分の子どもには、年がら年中ゲーム機に向かってピコピコやっているような生活を送ってほしくないからです。小売店やレストラン、通信、その他個人向けの色々なサービスは、自分で利用してみて良いと思える会社を買えばよいと思います。もちろん好きだからと言って、業績や経営の良くない会社をなんでもかんでも買うほどお人よしではありませんが。

特定の企業が不祥事を起こしたときなども、個人の価値観を存分に反映させます。許せないと思えば、売ることを選択するでしょう。好き嫌いを反映させるという発想は、今や幅広く注目を集めている「ESG投資」にも通じるものです。多くの人が「好きだ」と思うような会社ならば、かなりの確率で、世の中に貢献している会社でしょう。良い会社であることが株価に反映される。これは株式市場の健全性の条件です。

個人も必要な情報には十分アクセスできる

昔と違って、企業の情報を得るのに、証券会社の社員である必要はもうありません。インターネット上で、投資に必要な情報を得ることは容易な時代です。上場企業ともなれば多くの場合、立派なホームページがあって、必ず「IR情報」という項目があります。その内容の充実度は企業間で大きな差があるでしょうが、投資に値する良い企業は得てして、提供しているIR情報も充実していることが多いようです。投資判断するに十分な情報を開示している企業だけ、投資対象にしていればよいのです。

専門のアナリストは多くの場合、目先の業績予想に時間を割かなければなりません。さらに可哀想なことに、公開されない情報を得ると、インサイダー情報と見做される世の中になってしまいました。個人投資家と同じレベルの情報で、プロとしての付加価値をつけよ、と言われているのです。大変ですね。

個人投資家は自分以外の誰に対しても説明責任を負っているわけではありません。自分が必要と思う情報だけを縦横無尽に活用して、長期的視野に的を絞った銘柄選択をすればよろしいのです。


基本的なスタンスだけ書いたつもりでも、結構長くなってしまいました。

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大塚商会 ~息子の職場体験をきっかけに~ [株式の個別銘柄]


7月の初めに、中学生の息子が学校の「職場体験学習」で、3日間大塚商会のお世話になりました。

この職場体験学習、受け入れ先の職場一覧を見ると、ほとんどが近所の商店や公共施設、保育園・幼稚園、老人ホームといったところ。そんな中で、どういう経緯で近所というわけでもない大塚商会の事業所で、文京区の中学生を受け入れようという話になったのか、その経緯からして興味がありますが、ともかく珍しい上場企業のオフィス。中学生男子にとって良かったのかどうかはよくわかりませんが、この会社、長年興味の対象外だったので、これを機会に業績をチェックしてみました。

四季報をパッと見たところ、ひと言で言って経営成績がいいんですね。こんなに伸びてるって知らなかった。パソコンの普及期にその販売で成長した会社、というイメージで止まっていました。実は今も立派に成長しています。利益率もキャッシュフローも資本効率も優秀。財務体質も強くて安心です。

会社のホームページで財務情報を見ると、過去10年間の必要十分な数字がExcelで見られます。ここではリーマンショックでどれだけ落ち込んだか、どのタイミングで回復したかチェック。売り上げは、2007年度のピークから2009年にかけて8.5%落ち込んでいますが、そこから2年で前のピークを回復。その後は順調に売り上げを伸ばし、2015年度は、2007年のピークと比べて3割増です。利益は当然のことながら振れ幅は大きいけれど、傾向としては売上と同様です。消費増税の時は特需もあったようで、2012~14年度の3年間は特に成長率が高くなっています。

リーマンショックの前と後を比べると、自己資本が積み上がって財務体質が強くなった分、ROEは20%台から14~15%へ下がって資本効率は落ちています。ただ、総資産に対する事業利益率(ROA)が載っていまして、これを見ると、それほど落ちてはいないんですね。いくつかの「回転率」の推移を見ても、会社全体として効率を落とさないよう、頑張っているんでしょう。特に目を惹くのは「従業員一人当たり」の売上や利益。ここ数年好調だった間に大きく水準が上がっています。配当もしっかり払っていて、一株当たりの配当額は10年前の4倍。20%台前半だった配当性向は、30%台後半に上がっています。

事業内容は二つの部門に分かれていますが、アニュアルレポートなど眺める限り、とにかく「オフィス、何でも屋さん」と総括していいんじゃないでしょうか。景気がどうでも、事務所というのは家計とある意味同じで、常に発生するニーズはあるものです。多分「システムインテグレーション」部門は相対的に景気に左右されやすいのでしょうけれど、「サービス&サポート」部門はいわゆる御用聞きのようなビジネス。これを「ストックビジネス」と呼んで注力しているそうですから、業績はこの先も安定の方向でしょうね。

個人の生活でも、情報機器をうまく使うのはなかなか大変なことですから、需要は豊富にありそうです。あとは営業力の勝負。こればかりは数字だけ見ていても、確たることは言えません。中学生の息子にそこまで観察しろというのは無理ですし。ただ先日、あるボランティア事業の会合でお会いした方がおっしゃってました。私が息子の職場体験の話をしましたら、大塚商会はすごいね、あそこで2~3年も営業をやったら、一流の営業マンになれるよ、と。ご自分の職場でサービスを利用なさっているようでした。

これを書いている時点の利回りは2%とちょっと。もっと高い銘柄はざらにありますが、今後配当が増えていく確率は結構高そうなので、悪くないと思います。…というわけで、先日少々投資してみました。

ここまで書いてきて、自分の保有している中で似た企業に思い当たりました。「オービック」という会社。四季報を改めてよく見たら、【比較会社】という欄にしっかり載ってますね。過去に株主総会に出ているのでご参考。→ オービックの株主総会 (2015年6月)

タグ:大塚商会
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