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リスクと確率 [投資スタイル]

リスクとは何か」ということを、このブログでは折に触れて書いています。リスクを理解することが、金融投資について理解することの真髄だと思うからです。でもなかなかピンと来ない。それは「全ての事象が、起きる前は不確実であった、ということを、起きた後ではイメージできなくなるからではないか」と、しばらく前のブログに書きました。

たとえば、最近の朝鮮半島情勢のようにきな臭い出来事があると、有事の際はどうなる、といったことがマーケットでも話題になります。こうしたいわゆる地政学的なリスクについては、予想することが困難で先行きがどうなるかわからない、という感覚を誰もが持っているでしょうから、「リスク」という表現もずっとしっくりくるのではないでしょうか。

有事が現実のものとなる確率は0%から100%のどこかにあって、それが起きても起きなくても、予想が外れた、当たったと割り切れるものではありません。でもこれが金融市場の先行きとなると、上がるでしょう、下がるでしょう、といった予想がなされ、当たった、外れた、という話になります。これも実際は、上がる確率が何%で下がる確率が何%、というべきもののはずです。さらに言えば、すべての出来事は、実際に起こる前は確率でしかないのです。

降水確率で表されるようになる前の時代の天気予報を覚えておいでの方は、その違いをイメージしやすいのではないかと思います。降水確率は0%や100%でない限り、外れることはありませんね? 上がるか下がるかどちらか、という予想をするから外れるのであって、何%かの確率で上がるだろうし、何%の確率で下がるだろうと予想していれば、そうそう外れることはありません。

短い期限で結果を出そうとすれば、期限が来た時点で「勝負」は一旦終わり。そして結果が全てです。結果というものは、出てしまった後は100%です。それがギャンブルというものの性格でしょう。でも、個人の資産運用には終わりはありません。短期的に当たっても外れても、またその先を考えることになります。結論はそう簡単には出ないのです。

予想を生業としているプロであれば、上か下か、右か左か、どちらかの結論を出すことを要求されるでしょう。しかし個人投資家にその必要はありません。何かに投資したならば、思いつく限りのシナリオを想定しておくのが良いと思います。どんなに間違いなさそうに見えても、実際に起こるまでは「可能性」にしかすぎ無いのですから、一つに絞る必要なんてないのです。

リスクを管理する、というと難しそうに思えますが、個人投資家としては、思いつく限りのあらゆるシナリオを想定しておく、できればそれぞれの起きる確率をイメージしておく、ということで、リスク管理になると思います。そんな難しいこと、と思うかもしれません。もちろん簡単なこと、とは言いません。ただ、精度の高い予想など、誰がやっても難しいもの。難しげに計算されたプロの仕事でも、予想というのは往々にして、過去10年や20年、こんなふうに動いてきたから今後も3分の2の確率でこうなるでしょう、とか95%でこうなるでしょう、とかやっているだけだったりする。将来の予想って、本当はそんなに単純ではありませんよね。


タグ:リスク
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大河ドラマを見ながら [市場と経済色々]

今年の大河ドラマ「直虎」は、人気出ないだろうなあ、と私自身思いながら見ていますが、時々ふと気になるシーンが現れます。

先週は、乞食同然から商才で成り上がり、蔵が建つほど金持ちになったという金貸しの方久という男が登場しています。海辺から余った魚を買いとって干物にして山で売ることから始まり、店を買って茶屋をやったり、戦のあとで刀を拾い集めて売り捌いたり、そんなこんなで金持ちになった、という話。こういう話に顔をしかめる向きもあるでしょうが、魚の行商は古典的なアービトラージだし、一種の火事場泥棒的な刀の商売も、今で言えばリサイクル業ですね。こういう話に素直に感心する主人公に、私などは親近感を覚えます。

そして、借金でにっちもさっちも行かなくなった村の徳政令に代えて、方久に領地として村を与え、自分の才覚で産業を振興し、そこから借金の返済分を取るがよいと命じるのです。直虎さんもなかなかやるじゃないの、と思って見ていると、案の定周りの家臣からは、あの村は何某が誰それ殿から頂いたゆかりの土地で、是々の者にとって思い出深きところであるから、あのような金貸しにやってしまうとはとんでもない、と反対するのです。

赤字垂れ流しでどうしようもない事業部門を、中国の企業に売却しようとすれば多分、その事業は創業以来の事業だとか、先代の社長が心血を注いだ事業だとか、そんな理由で反対する人が、日本企業には如何にも居そうです。先週の物語で主人公の下した決断に、「ひどい」とか「とんでもない」とか思って頭に来た人は、あまり経営者には向いていないでしょうね。

昨今重視されるようになったコーポレート・ガバナンスの議論では、企業価値を高めるという観点から企業倫理が論じられますが、倫理的であることは、感情に流されることではありません。ましてや感傷に浸ることではありませんよね。個人的な感情に流されず、今ある利害関係者が公正に報われるよう判断を下す。それが企業の価値を高め、長く存続させることにつながる、というわけです。借金漬けになった家や村を存続させるために、成金の金貸しに領地経営をさせる、そのために内輪の思いを犠牲にする。とりあえずガバナンス的には、全く正しいように見えます。

皆に反対されて落ち込みそうになる主人公を、成金の方久が励まします。銭は力、上手くことが運んで銭が湧き出るようになれば、皆近寄って来てもてはやすでしょう、と。女が力を持って生きていくには地位と肩書きだけでは足りない、という含意のようにも思えます。脚本家は女性ですから。(笑)

キャノンの株主総会 ~円高で大変なのは分かるけど… [株主総会]


30日の株主総会集中日は、キャノンに出席することにしました。
キャノンは最近株式投資をテーマにお話ししたセミナーで、高配当利回りの例としてとり上げた銘柄でもあるので、様子を見ておこうと思いまして。会場である社屋は少し郊外にあるので、気候の良い日ですと気分も晴れます。桜はまだあまり咲いていなくて残念ですが。3年前にも一度出席していて、会場の雰囲気などはその時のブログに書いた、ほぼそのままです。

前期の業績は1割減収、3割減益で苦戦気味。配当は横ばいを維持していますが、前期について言えば配当性向が100%を超えてしまい、余裕はなくなっています。事業報告では、とにかく円高のせい、という説明ばかりが目立ち、他のもっと語るべき問題点が明らかにされていないような印象を受けます。

戦略的大転換を図り、改めて成長を目指す。新規分野を育て、その中からダントツの商品を開発しなくてはいけない。そうした問題意識はもっともだし、東芝メディカルの買収も良いと思います。ただ、厳しくなっているはずの現状についても、ある程度知りたいと思うわけです。強さの源泉であるオフィス機器部門、つまりコピー機やプリンターですが、非常に厚い利益を上げてきたこのビジネスが、今どんなふうになっているのか、そこがすごく気になるわけです。新しい商品がそれを埋めるように育ってくれるんでしょうか。

その疑問にピシッと答えてもらえるような質問は、株主からも出ませんでした。じゃ、自分で質問すればいいじゃないの、と思って途中から挙手してたんですが、当たりませんでしたね。目に付けば女性は当たる確率高いんですが、席が端の方だったもので。

株主として尤もな質問、たとえば東芝メディカルの買収についての質問は当然ありました。高すぎたのではないか、とか、東芝があんなに問題になっているのだから、子会社もリスクがあるのではないか、とか。回答に説得力があったかどうか、何とも言えない感じですが、そう簡単に答えられる性質のものでもないでしょうし、仕方ありません。私としては、そういった問題があるとしても、医療分野の買収については賛同できますね。後で高すぎだったね、と言われぬよう、これから頑張って頂くしかありません。

一株当たり純資産(BPS)が減っている、自己資本比率が下がっている、RoEも低くなった、ということを指摘した質問、これも株主として正しい問題意識です。良いと思います。BPSの件は、配当が利益より多かったから。自己資本の件は、大型買収にあたって負債を増やしたから、RoEが低いのは、大幅減益のせいですが、それがなくてもあまり高いとは言えなくなっています。やはりもう少し利益が欲しいですね。…実はこの時の回答、そう難しい質問じゃなかったのに、数字を揃えるのに手間がかかったり、BPSをEPSと勘違いして答えたり。それに、EPSの額をそのまま市場平均や他社と比較するって無意味だと思うんですが、個人投資家には分かりやすいとでも思われたのでしょうか。

女性の役員がいないことを指摘した質問も。このご時世ですから、まあ居るに越したことはありませんが、普通の大企業であれば、居なくても仕方ない面はありますね。取締役になる年代は、まだ雇用機会均等法の世代よりも5年から10年は上ですから。回答で、人事において男女の差別は全くありません、とはおっしゃってましたが、過去の採用時の差別があって現状があるわけです。ただ、執行役には女性が2人いらっしゃるとのこと。

監査役会が正しく役割を果たしているのか、と疑問を呈した質問もありました。こういう質問も、経営に緊張感が出て良いと思います。会計監査人の監査報告と、監査役会の報告と、日付が同じっておかしいんじゃないか、という質問。これは私には思いつかない質問だな、と思って聴いていました。

業績以外の件で株主総会を通して気になったのは、御手洗会長がすべて取り仕切ったこと。有能なリーダーによるワンマン経営は、実は悪くはないと思っているのですが、高齢になると先々が気になります。普通どこの株主総会でも、質問の内容に応じて、何人かの取締役がそれぞれの守備範囲で回答するものです。ところがキャノンでは、先述の監査役会の件以外、全て御手洗会長がお答えになりました。会長以外にも、頼りになる人材がちゃんといますよ、とアピールして欲しかったですね。現会長はもうあまりにも長くなさっているせいか、質問に対する回答で、緊張感に欠けると感じる部分もありました。「新たな成長を目指す」と銘打っているのですから、新たな挑戦を感じさせる演出もお願いしたいものです。

因みにおみやげは無しです。株主さんからは、おみやげ復活の要望が出てましたけれどね。私は別に要らないんですが、「株主総会の帰りにCanonのロゴ入りの袋を持って歩くのが嬉しいんですよ」という個人株主の気持ちもわかります。ちょっと微笑ましいですね。

→ キャノンの株主総会 2014年

大塚商会の株主総会 ~ ひと言で言って無風 [株主総会]

今週は水曜と木曜に株主総会。まずは水曜日の大塚商会から。

保有株としては新顔なので、株主総会も初めてです。買った頃のメモにも書いた通り好調な業績が続いていて、終わった決算期も問題無し、且つ増配。ということで、株主総会は無風のまま、40分ほどで終わりました。予想はしていましたが。

何百人と集まるような大企業の株主総会は、色々と趣向があったり、多くの株主が発言したりもするでしょうが、世の中で開催されている株主総会の殆どは、多分こんなものなんだと思います。この日も取引先企業なのか背広姿の株主と、元社員らしき株主の皆さんがほとんどで、初めから事業内容も会社の内情もご存知でしょうから、質問なんかそりゃ出ませんよね。私のようにどちらでもない株主は、多分数名のみでしょう。

でもこれじゃ、株主総会のメモに書くことが全く無くなってしまうので(笑)、一つ質問してみました。営業力が強味の大塚商会、販管費の多くは人件費であると思われますが、今後人件費が上昇したり、人材確保が困難になったりすることが考えられます。この点の見通しは如何でしょうか?

これに対しての回答。
販管費に占める人件費は約6割。
1人当たりの生産性は、重視している経営指標の一つ。社員数は3年ほど前から若干増員しているが、年+1%台と微増にとどまっており、賃金改定なども行っていない。

私は「見通し」を聞いたはずなんですが…。要するに、売上が伸びている時も人員の増加には非常に慎重である、ということが分かりますね。そう言えば前述の自分で書いたメモにも、一人当たり生産性への言及がありました。

総会が終わると、顔見知りらしい出席者たちは親しげに挨拶を交わし、和気あいあいと会場から去っていきます。車椅子でお出ましの高齢の男性のところには、人が何人も集まっています。先代の経営者だったりするのでしょうか。


ご参考 → 昨夏作成のメモ
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優等生 花王 ~何がなんでも増配継続~ [株主総会]

まず好感が持てるのは、株主総会の時期が早いこと。12月決算の総会の殆どが28~30日開催、特に30日は集中日で、この日に開催されると、出席したくてもほとんどできない、ということになります。その点21日というのは他社とぶつかる可能性が極めて低く、株主に優しい日程という印象。

総会会場への道すがら、地下鉄の駅の階段で、早くも何人ものおみやげハンターたちとすれ違いました。私はこういうことは、心が貧しい気分になるのでやらないけれど、花王の場合は経営的には許せる部類。なぜなら、配られているのは商品のサンプルという位置づけだからです。総会には出ないけれど、わざわざ投資先の商品サンプルを取りに遠くから足を運んでくれた、と思えばよいのです。

総会自体に変わった趣向も無く、とりたてて批判すべき点も見当たらず、優等生による優等生らしい株主総会でした。社長のプレゼンテーションは聴きやすく、業績は売上こそ微減ではありますが、為替の影響を除けば+3.2%と説明され、利益率もROEも向上。キャッシュフローも健全で、設備投資を十分賄っています。そして極めつけは、27期連続増配。配当性向はここ何年も50%を中心に推移していて、無理のない水準です。

中期経営計画では、この業種としては十分な成長意欲を示し、グローバルに存在感のある企業を目指す、と言っています。そう、グローバルな展開、という意味では、例えば格下だったはずのユニチャームの後塵を拝しているわけで、こんなに優等生の花王なのに、何となく物足りないと感じてしまうのは、正にここなのです。

そもそも遥か昔、多分20年ほども前に私が累投でこの株を買い始めた頃、Bioreなどの手ごろな価格の品ぞろえを持っていた花王に、私はとても大きな期待を抱いていたのです。中国が豊かになる過程で、きっと高成長するであろう、と。果たしてその後、中国は非常な高成長を遂げるのですが、花王の国際展開は、全然パッとしませんでした。買収したカネボウ化粧品が軌道に載らなかったばかりか白斑事件まで起こし、かかずらわっている間に、世紀の大チャンスをみすみす逃した感が拭えません。過去のことを言っても仕方がないのですが、どうしても毎回これに触れずにはいられません。グローバルな存在感へのこだわりは、自分たちが一番よくわかっているということなのだと思うことにしましょう。

企業理念として、真摯なモノづくりで「正道を歩む」というのも良いと思いますし、ステークホルダーに対しては、「何がなんでも増配継続」と、思い切った表現です。プレゼンの最後に見せられたイメージビデオは、ある小学校を舞台に、卒業を前に心を込めて学び舎を掃除しよう、という取り組みが紹介され、時節柄もあり、うちの息子の小学校が思い出されたりもして、うっかり涙ポロリと来てしまいました。

株主の質問、延々とありましたが、どれもそつなくきちんと回答されて、やはり優等生的。応援メッセージ的な発言も多かった。これだけ増配が続くと文句のつけようもないし、かく言う私も特段良い質問が思いつきません。なんとなく抽象的な話が多くなってしまって、長かった割に退屈なQ&Aではありました。最後の質問者が話し好きらしい御仁で、どうでもいいことを長々と話し始め、午後の予定も迫っていた私は、残念ながら途中退席したのでした。

「おみやげ品」の中から気になったものはこれ。泡スプレー式食器用洗剤。確かにおろし金や泡立て器なんかにはいいかも。

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→ 花王の株主総会 2013年3月
→ 花王の株主総会 2010年6月
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株主は株主でいてくれるだけで・・・ [投資スタイル]

君は君でいてくれるだけでいい、なんて、古いラブソング歌詞にでもありそうですが、特別なことはしてくれなくていい、そこに居てくれるだけで十分、そういうことです。

株主になって良い会社を応援する、良い会社を支えて世の中を良くする、そういう考え方はもちろん素晴らしいし、私も多くの場合、保有株式についてはそう思って投資しています。株式投資をするにあたって、そうした意味づけが必要だと感じる人は多いかもしれません。日本では「株で利益をあげる」ということに、どうしても否定的なイメージが付きまといます。汗水たらさずに得られる利益には罪悪感を持つ人が多く、何らかの免罪符が必要なのでしょう。

でも本当は、株主は株主でいるだけで、株主としての社会的役割を果たし、それによって十分社会に貢献しているのです。特別に「良い会社」でなくっちゃ、とか、一生懸命応援しなくちゃ、とか思わなくてもよいし、企業を特定しないインデックスファンドであっても、その役割は果たされているのです。

なぜなら、株主は事業のリスクを負っているからです。企業が事業活動を行うためには資金が必要ですが、お金だけあっても事業はできません。事業に伴うリスクを、誰かが取らなければ、お金は事業活動に流れないのです。株主はその役割を果たしています。事業が不調ならば株価が下がって損失を被りますし、会社が潰れれば株式は文字通り紙切れになります。リスクの引き受け手がいるから、会社は事業活動を行えますし、その収益によって経済が成長するのです。

株主は、経済成長のリスクをとる、という重要な役割を果たし、その対価として収益を上げることが出来るのです。株主は株主であることにプライドを持って、投資すればよろしいのです。

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株式は債券より儲かるのか、というお話 [株式投資色々]

2ヶ月ほど前の「リスクをとれば儲かるのか、というお話」の中に、「経済が成長している限り、株式の方が債券より儲かる可能性が大きい」と書きました。株式は上がったり下がったりするけれども、全体としては、債券よりも上がり方の傾きが大きいのだという、図で示せばこんなイメージのことを申し上げたわけです。

リスクとリターン.png

でも、それは本当なんでしょうか。誰が株の方が儲かるって決めたんだ?…なんて、疑問に思う人がいても、ちっともおかしくはありません。しかしやっぱり本当なんです。そうじゃなくては辻褄が合わないんです。

たとえば、何か事業を始める自分を想像してください。設備投資や在庫投資の資金その他運転資金を、どうやって調達しますか?

もちろんまずは自分の貯金を下ろす、それから借金する、または誰かに出資してもらう。これらの選択肢から選んで調達し、事業資金に充てます。図のようなバランスシートの科目で言うと、自分の貯金と出資してもらったお金は右下の資本借金は右上の負債です。

負債と資本.png

「負債」と「資本」は、当たり前ですが、性格の違うお金です。負債の方は、事業が上手く行っても行かなくても、利子をつけて返さなくてはなりません。どんなに事業で損が出ていても、借金取りはやってくるということです。

一方資本のほうは、返す必要がありません。「自己資本」とも言うとおり、会社にとっては自分のお金という位置づけです。返さなくて良いばかりか、利益が出ていなければ、配当だって払わなくてよいのです。新しい会社であれば、出世払いでいいよ、というわけです。

さて、こうして始めた事業が大成功して、たくさんの利益が出たとしましょう。出た利益の分け前をもらえるのは誰でしょうか。・・・当然、下の方の「資本」を提供していた人たちですね。会社が損したら一緒に損してあげるよ、と言ってくれた人たちに、その見返りがあるのであって、どんな状況でもきっちり返せ、と言っていた人に配分されるわけがありません。

これこそが、ハイリスク・ハイリターン、ということの意味なのです。損が出たらその損を負担する、その代り出た利益は頂く、ということです。利益が十分出ているならば、債権者よりも、資本の所有者である株主の方が利益が上がらなければおかしいのです。

企業の行う事業活動が経済成長の源泉であることを考えると、経済が成長している限り、一般に株式の方が債券よりも高い収益が得られる、というのはそういうことなのです。もちろん、個別の株について、または短い期間について言えば、そうでない事態も生じます。しかし株式全体として、十分に長い期間をとってみれば、株式の増え方のほうが債券より大きいということが言えるのです。逆の言い方をすれば、株式の方が債券より儲かるようでなくては、経済はダメなんですよね。

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HISの株主総会、初めての出席 [株主総会]

先週木曜日(1月26日)の株主総会メモ。

この会社は結構長きにわたって保有しています。2001年の同時多発テロの時、ああもう当分この業種はダメかな、と思ったことを覚えています。当時は株価が割高だと思って少ししか投資していなかったのですが、少しだけだから、まあ売らずに持っていようか、ということでその時は放置することに。結果的にあの時は「買い」でした。経営の良い会社の逆境を買う、という一つの典型。とは言え、株式市場ではまだ比較的新参者でしたからね。そこまでの自信を持てなかったんですね。

株主総会には、今年が初めての出席。業績の説明は、ぼんやり聴いていると別に悪くはないような感じですが、数字は実はとても悪い。それでも心配ない、ということならそれはいいのだけれど、やはり数字の悪い時は、もっと丁寧に説明すべきです。だって営業利益は28%減、経常利益に至っては62%減ですよ。売上だって減っている。為替差損だとか、船舶の評価損だとか、さらりと触れるだけにしては、数字が大きすぎます。売り上げの減少も、燃料サーチャージを除けば実質2%の増収だそうだけれど、燃料サーチャージの説明ぐらい、少しはしたらどうなんでしょうね。

個人株主はどうせ数字なんか見ちゃいない、ということなのでしょうか。そうかもしれません。実際その後の質疑応答の時間、私が質問するまでこの決算の数字について、誰も質問しませんでした。でも、相手が素人だと思うのならむしろ一層、数字をちゃんと見てくださいね、と促すぐらいの態度があってもいい。特に、数字が悪い時に十分説明しないのは、たとえ悪気が無くても印象がよくありません。総会の資料も、必要最低限というかんじで、あまり親切とは言えませんしね。

そうは言っても、ちゃんと聞けば答えてくれます。今回減損を計上した船舶のような資産はこれの他にはない、為替差損は海外資産の評価損なので、これからも結構大きな幅で上下する、とのこと。それから、資金が必要であるにもかかわらず、自社株買いに資金を使い、一方で負債も増やしているのはなぜか。低金利で株式より債券での調達が有利だから、自己資本比率が下がってもそうすべき、ということなんでしょうか。…と聞いてみると、これだけの低金利だから今借り入れはすごく有利、との答えでした。配当利回りも低いんだから、株式のコストも高くないと思うんですけどね。自己株式の買い入れ=株主還元、という発想で、資本コストについてはあまり意識してなかったのかも、と思いました。借金が簡単に借りられるので、自己資本のありがたみも特に感じないでしょうし、業績も長期的に伸びているから、株式で調達する苦労なんかも感じなくて済むのかもしれませんね。

もう一つは、ロボットの働く「変なホテル」、人手不足問題を解決する切り札となるのか? という質問。人手は最初14人で切り盛りしていたものが、6人まで減らすことが出来ているのだそうです。目標は1ホテル2人。来月には舞浜にオープンするというから、ぜひ一度行ってみたいですね。

他の株主質問は、特に面白いものはありませんでしたが…やはり色んな方がいらっしゃいますね。社長をいちいち「あなた」呼ばわりする上から目線の株主とか、バリアフリーやCSRを焦点とした質問者、一番最後の質問者は延々と10問以上続けて質問してましたが、あれはちょっとルール違反ですね。もう最後だから多目に見るか、という雰囲気でしたが、会場の他の株主からは野次が。

可もなく不可もない総会でしたが、成長株にはよくあること。IR含むガバナンスは、良いに越したことはありませんが、私は別にガバナンス至上主義ではありません。成長企業は成長することで頭がいっぱい。ガバナンスが良くなるのは、勢いが衰えて来ている兆候のような気もします。衣食足りて礼節を知ると言いますからね。ジレンマというか、悩ましいところです。

(おみやげのカステラ、以前夫が持ち帰った時は、パッケージも「ハウステンボス」でしたが、今回は外に貼られたシールだけ。この文明堂の箱の方がお洒落でいいですね。)

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初心者only ~ 証券口座をどこに開く? [株式投資色々]


これを読んで下さる方の中に、まだ証券口座を持っていない、という方がどれくらいいらっしゃるか分かりませんが、最近質問されて、実際にお答えした例をご紹介。昨今この手の質問に対する答えは、特にネット上で検索しているような人に対しては、ネット証券がいいよ、ということになるのだと思いますが、まあ色んな考え方がある、ということで、参考にしてください。

因みに私は、むか~しから使っている、大手証券会社の口座をそのまま使っています。そもそも、皆が口をそろえてネット証券を勧めるのは何故でしょうか。
① 手数料が安い
投信などの品ぞろえが多い
③ うるさい営業担当がいない
…といったところでしょう。(ほかにもありますか?)

私の場合、
① たまにしか売り買いしないので、手数料の多寡はほとんど関係ない
② 投信にあまり興味がない
③ 相手も余計な投資アドバイス(と言えるかどうかはまた別として)をしても無駄と分かっているので、うるさく言って来ない
…というわけで、ネット証券のメリットが活かされないのです。

一方、営業担当者にはちゃんとお願いすべきお仕事があります。税金の申告をする時に、証券関係の税制については何でも聞いてしまう。大手の金融機関はちゃんと税理士さんがいますから、税理士の先生に聞いておいて、とお願いするわけです。そのほか、外債の取引なども、ほぼ営業担当者に頼っていますね。

そういうわけですから、このご時世でも、ネット証券ではないところに口座を持つ意味はあるのです。人それぞれの事情です。あとは、自分にとって便利な場所にあるいくつかの店舗に行ってみて、雰囲気がいいな、と思うところに決めればよいのではないでしょうか。そして気を付けるべきは、余計な営業をさせないこと。これだけは注意してください。


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リスクをとれば儲かるのか、というお話 [株式投資色々]

リスクの話をしていると禅問答みたいになる、ということを前回書きましたが、禅問答ついでにもう一歩、リスクについてのお話を進めてみましょう。

「高い収益が期待できる金融商品を選ぶ際には、高いリスクをとらなくてはならない。」

これは、ごく標準的な「リスク」の説明と言っていいと思います。では、これはどうでしょうか。

「リスクの高い商品を買えば、高いリターンが得られる。」

先ほどの標準的な説明を、単純に逆にしたように見えますが、こちらは間違い。前回の話に出てきましたが、「リスク」とは「先が分からないこと」ですから、リスクのあるものを買っているのに、高いリターンが得られると分かっているとすれば、大きな矛盾です。

正しくは、「リスクの高い商品を買えば、高いリターンを得られる可能性があるというだけなのです。
そうであるならば、株式債券を比べた場合、株式のほうがリスクが高いからと言って、必ず株式のほうが高い収益が上がるとは言えないわけです。

…なんだか、リスクを取っても割に合わないような気分にさせられませんか?

ところが、です。十分時間をかければ、平均的には、よりリスクの高い株式のほうが、リスクの低い債券よりも高い収益が得られる…ということは、ほぼ間違いないとは言えるのです。(この点は日を改めてまた書くことにします、) 

そこに必要な条件は、経済全体が成長しているということと、企業の成長が経済の成長の源泉であるということ。言い換えれば、経済が成長している限り、株式のほうが債券より儲かる可能性が大きい、というわけです。

絵を描いて示せば、こんな感じ。株式のほうが伸びる角度は大きいけれど、上から下までバラつきがあるので、たとえば下図の縦線で切った時点では、債券の線の下に行ってしまう株式もある、というわけです。

リスクとリターン.png

こうして見ると、今度はリスクを取っても割に合わない、という感じはしませんよね。

タグ:投資 リスク
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