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着物屋さん夜逃げ事件と先払いのリスク [市場と経済]

成人式の着物屋夜逃げ事件、全くひどい話ですね。まさに「晴れの日」に一度に大勢の被害者が発生した、という点を除けば、先に払い込んだ料金を持ち逃げされた、という単純な詐欺事件のようでもあります。

詐欺ではなくても、払い込んだ先の事業者が破産してしまえば、同じことは起こり得ます。理由はどうあれ、品物やサービスの提供を受けずに先払いする、ということはリスクを孕む行為です。一定の期間の間に何が起こるかわからない、そのリスクを払う側が引き受ける、ということなのです。ですから、早く払い込めば××%割引、というのは当たり前で、得しているわけではないのです。リスクを引き受けるだけの料金を、業者さんからいただいているわけです。

では、どのくらい割引されるのが適正なのでしょうか。どのくらい安くなれば本当に安いと言えるのでしょうか。この時まず数字として算出しやすいのは「金利」水準から求められる部分です。業者さんは、商品を提供するために資金が必要です。自己資金が十分なければ、どこかから調達しなければなりません。その調達コストは、一般の金利水準が反映されます。ですから先払いする場合は、期間に応じた金利分、最低でも割り引いてもらわなくてはなりません。ここまでは、業者さんに提供する「期間」の利益の部分です。

しかし実際にお金を貸し借りするときの金利は、期間の長さだけでは決まりません。それは前回のブログにも書いたとおりですが、要素としてもっと大きいのが「信用」を反映する部分です。今のような低金利下では特にそうでしょう。その業者さんがどのくらい信用できるのか、倒産する可能性や、今回の着物屋さんのようにドロンと消えてしまう可能性がどのくらいあるのか、ということです。

そのような可能性を数字ではじくことはとても困難なことですが、例えばの話、倒産したり夜逃げしたりする可能性が50%であるとわかっていたならば、正規の料金から金利分割り引いて、さらに半額、というふうに値付けできるかもしれません。まあ実際にはそんな簡単な話ではないので、ここでは頭の体操としてイメージしてみてください。

そこまで割り引いてもらって、実際に晴れ着を着ることが出来たら、賭けに当たってよかったね、という感じですね。半額よりももっと安くしてもらっていれば、初めてお得でした、ということになります。逆に今回のように夜逃げされてしまったら、賭けに負けて残念でした、という感じでしょうか。安かろう悪かろうだね、と言って諦めてもらう。ビジネス的にはそういう道理なわけです。

もちろん一生に一度の式典に、そんな賭けを持ち込むのはどうかと思いますが、「信用」というのはそういうこと。デパートのような小売店の値付けには、こうした「信用」のコストもかなり含まれているはずです。高いけれども、一夜にしてドロン、ということは考えられませんからね。

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