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働き方を「改革する」ということ [市場と経済]

今年の国会では、働き方改革関連法案というのが最重要法案の一つだったと思いますが、めでたく可決されたとのこと。実際の事件の衝撃もあって、過労死をなくすための残業規制という印象ばかり強く残った感がありますが、よく見ると裁量労働制というものを認めたり、正規・非正規のギャップを縮めなさい、という項目も含まれています。

過労死を無くそう、働き過ぎをどうにかしよう、と考えることはもちろん正しいけれど、それを規制で固めるやり方は、「改革」と呼ぶには値しないと思うのです。働き方に対する考え方が大きく変わるということにはなりません。これまでのやり方に問題があったから是正する、というにすぎません。

そもそも、どうして働き過ぎてしまうのでしょうか。本当なら、体や心を病んでしまうほど働かされるようなひどい職場は、そうなる前に辞めてしまえばよいのです。やめる自由はあるのに辞めない。辞めたら損だからです。正規雇用を手放すのはもったいないのです。

働き過ぎてでも正規雇用を守ろうと思うのは、正規雇用と非正規雇用の待遇の差が大きいことの証左にほかなりません。雇う側からすれば、そうやすやすと正規雇用の地位を与えるわけにはいかないので、採用も慎重になります。だから本当に大事なのは、正規雇用と非正規雇用の差を無くすこと、ということになります。

辞める自由が実質的には無いという状況、一旦雇われたら辞めないのが正しい働き方だという考え方、これらを変えることが、「改革」であるべきです。それによって、雇用の流動性を高めることが求められていると思います。ついでに言及しておくと「裁量労働制」も、辞める自由があって初めて機能する制度だと思います。

残業規制で労働時間を短くするだけでも生産性は上がるでしょうが、それは経済全体の効率を良くするというスケールの話ではありません。もっと自由に職を選べるようになれば、必要な人材が必要なところに柔軟に動いていくようにもなるでしょう。古い産業から成長産業へ、構造の転換を促すことにもつながります。こうしたことが、生産性の向上につながるはずなのです。

雇用の流動性を高めるということは、労働市場にもっとマーケットメカニズムを働かせる、ということです。もちろん今でも雇用は市場経済のもとにあるのですが、自由が制限されていることで、かなり不完全な市場になっています。市場経済というのは「インセンティブ」によって動くメカニズムです。参加者のインセンティブをコントロールすることによって物事を動かそう、と考えるのが、市場経済を活かすということです。

これに対して「規制する」というのは、嫌でも従え、と命令するわけで、謂わば社会主義的な発想です。「辞めたら損だ」という雇用制度を残すことによって「もっと働こう」というインセンティブを放置したままでは、規制も形骸化するような気がします。そのためには残業規制よりも、正規雇用と非正規雇用の差を本当になくしていけるのか、そちらの方がはるかに重要です。働く人のインセンティブに働きかけるからです。法案ではさらっと書かれているようですが、大丈夫なんでしょうか。

労働市場を社会主義から解放せよ。・・・これが働き方改革であってほしいものです。

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