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減配銘柄のレビュー [株式の個別銘柄]

ここしばらくで目立った減配の事例と言えば日産が思い浮かびますが、それ以上にひどかったのはローソンでした。常日頃、配当が増えるか減るかが一番の関心事であるべきだ、と申し上げていますので、この2件だけは振り返っておきましょう。

日産は昨年中に押し目買いをしていますが、この時の予想配当利回りは6.8%でした。この利回りの高さは、サステイナブルではありません。持続不可能。それはどういうことかと言えば、配当が減るか株価が上がるかしかないわけです。

買いの判断を振り返ってみると、あの時点から配当が半減すれば、6.8%だったものが3.4%になる。それだとちょっと低いけれど、減配幅がそこまでいかない可能性もあるだろうし、もし減配を免れれば超ラッキー、ということだったわけです。その後の経緯は特に良いこともなく、減配を免れることはできませんでした。結果、3割の減配。利回りは6.8%だったものが4.8%に収まりました。買値に対して、という意味です。

先々減配が続くようならば、予想外の悪化ということになるのでしょうが、とりあえずここまではよしとしましょう。日産を巡っては、新たなアライアンスの可能性も浮上してきたりして、業績など予想するだけ無駄に思えます。株価には特段楽観的な見通しも織り込まれていないようですから、当面放っておきましょう。

問題のローソンですが、こちらの減配は業績の悪化によるものというより、配当方針の変更です。これまでは気前よく、特に直近2期は利益のほとんどを配当に回してくれていたのですが、これを「150円を下限に、連結配当性向50%を基本方針」とすることにしたんだそうです。これをうけて、一株の配当は255円だったものが150円に減ると言っています。

配当方針を変えた理由は公表されていませんが、資金が必要になったということですから、思い当たるのは新しく始めた銀行業ですね。バランスシートを見ても、負債が大きく増えているのはそのためでしょう。そう考えると、全く予想できなかったわけでもありません。残念。

配当性向が高すぎると、潜在的には減配になりやすいわけですが、配当方針がこのように決まってしまったので、業績が回復しても、以前のような高い配当はなかなか望めなくなってしまいました。株価もそれなりに下がりましたが、配当利回りは3%に届きません。それでも低くはありませんが、新たに始めた銀行業が、株主に貢献してくれるのはいつになるのでしょうね。


ローソン銀行開業
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超ハイリスク・ハイリターンな成長株 [株式の個別銘柄]

株式市場では「サンバイオ」株が昨日まで4日連続ストップ安、今日も下げて、その間だけで株価は4分の1ぐらいになってしまいました。凄いですね。この値動きを見て心臓がバクバクしてしまう人は、やっぱり買わないほうがいいですね、こういう純粋に成長期待のみで株価の形成されている銘柄は。

では、こういう極端なほど乱高下する成長株は、単なるギャンブルの対象なのでしょうか。「投資価値」についてはどう考えればよいのでしょうか。

周知のとおり、この会社は「夢の薬」を開発しているといいます。製品はまだできていないので、どこから売り上げが来るのかよく分かりませんが、とにかく製品ができるまでは赤字が続きます。でも首尾よく開発が成功すれば、莫大な利益が手に入るはず、という状態の銘柄です。

手元の四季報で財務情報を眺めますと、総資産は147億円、自己資本は107億円、有利子負債は27億円。これだけ見れば、悪くないですね。自己資本に対して負債は多くないし、それほど危ない会社には見えません。この107億円の自己資本が、このままでいくと毎期30億円とか40億円とかいうペースで減っていくわけです。開発に成功すると期待されている限り、開発費が足りなくなればまた調達することになるのでしょうが、今ある自己資本で3年くらいは持つことになります。

今日の2600円近辺という株価の水準は、急上昇の始まる前、あまり株価の動いていなかった2018年前半の水準も下回っています。今日はようやく売買もできているようですし、当面はこの辺で落ち着くのかもしれません。この株価で計算すると、時価総額は1290億円くらいになります。147億円という総資産、107億円という純資産(自己資本)に、1290億円というお値段がついているわけです。倍率にすれば総資産の8.7倍、純資産の12倍です。

これを高いと感じるか高くないと感じるか、それはひとえに、薬の開発の成功をどの程度信じられるかに依るわけです。この先どのくらい時間がかかるかにもよりますが、そこそこ現実的な評価のようにも見えます。

いずれにしても、開発が上手くいくかどうかが全てを決する、超ハイリスク・ハイリターンであることには変わりありません。こういう銘柄は、ゼロになってしまう可能性まで想定して心の準備をしておけば、そう悪い投資ではないとも言えます。株価が上がる時のスケールも、桁違いに大きいでしょうからね。そんな可能性がちょっとでもあるなら買わなきゃ損、という投資家がいても不思議ではありません。ただ辛抱強くなければ投資はやめた方がいいでしょうね。なにしろ製品はまだできていないのですから。

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ゴーン氏の逮捕劇、日産の株主としては・・・ [株式の個別銘柄]

日産について、やはりひと言ぐらいは書いておきましょう。私は特別な情報を持っているわけではないし、取り立てて詳しく調べているわけでもありません。普通のニュースメディアで読んだり聴いたりしているだけです。だから、有罪か無罪か、逮捕が正しいのかそうではないのか、といった議論はやめておきます。それを判断するに足る資料も知見も持ち合わせないからです。ただ、株主として何を思うのか、感想を書くにとどめます。

私が日産株を保有しているのは、日産が日本の会社だからではありません。日産がまともな車を作って売って利益を上げて配当を支払ってくれるからです。これはこれまでにも何度も書いていることですが、配当をもらうために投資するのは株式投資の王道で、銘柄を保有したら、心配しなくちゃならないのはその配当が減ることだけです。ですから、今回の事件が業績の悪化などを通じて減配につながるかどうか、それだけが心配、ということになります。

残念ながら今の時点で、先を見通すのは困難です。まあ急に車が売れなくなるようなことはないとは思いますが、社内のモラルが激しく落ちて各方面にトラブルが発生するとか、ルノーやフランス政府と大喧嘩になって株主の権利に負の影響が及ぶとか、悪いシナリオは色々と想像できます。でもできるのはそこまで。はっきり言って全然分かりません。

ただ少なくとも私は株主として、ゴーン氏を追い出そうとしている経営陣を、あまり応援する気にはなれません。彼らの思うとおりになってルノーの支配から脱し、それで経営が良くなる保証は何もありません。今回の逮捕劇、今のところ真相が分からないながらも、強い違和感を覚えます。そのシナリオを描いた人々を信用しろと言われても、戸惑うしかないでしょう。

ルノーという会社も、自分たちはフランスの魂だ、などと言っているんじゃ、とてもよい経営ができるとは思えないけれど、日産の株主として、日産が高い配当を出し続けるように適度のプレッシャーをかけ続けてくれる、という状態が、株主としては望ましいわけです。必要以上に日産を支配しようなどとは考えず、おとなしく株主をやっていてくれれば、一株主としてはありがたいのです。

タグ:日産
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ローソン銀行開業 [株式の個別銘柄]

ローソンが今週から銀行を開業したとのことです。これで株価が動くなどという話は全く無いのでしょうね。少なくとも、この話を聞いてローソン株に投資したくなる投資家は、かなり珍しい類だと思います。

金融がフィンテックだ、デジタライゼーションだ、と騒いでいる時代に、今さらATMで銀行を始めるって、誰が聞いても時代遅れ感が否めません。それに加えて本業も減速気味。振り返ってみると、株価はピークを付けた2016年の初めから、ずっと右肩下がりです。まったくもうパッとしない感じですね。

この銀行業参入について、あれこれ記事を読んだり、つらつらと考えを巡らせたりしているのですが、このところだんだんこの判断の背景が見えてきているようにも思います。日本の商社のなかでも金融の雄を自認する(と思われる)、あの三菱商事がやっていることですから、何らかの勝算があってやっているのだろうとは思うのですけれど。

小売り系の銀行はセブン銀行とイオン銀行が、すでに大手としてシェアを持っていますけれど、このマーケットが本当に斜陽なのか、という話です。儲からないけど顧客サービスとしてやってます、というならばあまり評価はできませんが、将来はそうでもないかもしれません。

ゲームのルールがガラッと変わってしまいそうな産業の一つに、この金融業も含まれるということにはそれほど異論はないでしょう。そんな中で、消費者相手の小口の決済って、将来は小売業が担っていくのかな、というふうにも思えます。よく考えてみれば、消費者向けサービスって、特に銀行が得意な分野ではありません。体質的に規制業種で、消費者の気持ちが分かる産業というわけでは全然ありませんからね。

では小売業の方に参入するメリットがあるかというと、あると思わざるを得ません。昨今フィンテックがすごい!と騒いでいることの第一は、購買行動のデータが得られる、それを分析してビジネスに活かせる、ということですよね。消費者の購買行動についてデータが欲しいのは、銀行よりもむしろ小売業だと思うからです。小売業が欲しがらないようなデータしか得られないのであれば、そもそもフィンテックなんてたいしたことない、ということになりませんか?

金融業のうち「消費者向けの決済」という塊を小売業が担当するのであれば、そこをイオンセブンだけにやらせておくのは許せない、と自分が三菱商事の経営者なら、思うと思うんです。そこで子会社ローソンの出番、ということでしょう。

今さっき書きましたが、フィンテックがすごい、という話は、一番大きなインセンティブはビッグデータ、ということだと私は理解しているんですが、どうなんでしょう? 少なくとも、消費者の利便性が一番、ということは無いと思います。そりゃ、キャッシュレス決済は便利でないことは無いけれど、大騒ぎするようなもんではありません。私は今でも、小規模な小売店以外どこでも気軽にクレジットカードを使いますし、所謂交通系のカードも使います。それがスマホになったら格段に便利になるかというと、限界効用はたいしたことありません。

それに、あまりに便利になるということは、簡単に盗まれるということでもあります。クレジットカードは一応カード会社を信頼してセキュリティーを確保しているわけですが、スマホでピッとやるだけで、どんどん自分の口座から落ちていくという状態は、恐ろしいものがあります。

小規模な小売業者にとっても、ほとんどメリットはない。ただ、QRコードを一枚プリントアウトして店頭に貼るだけでいいのならやってもいい、ということだと思います。日本はガラパゴス化がお得意ですし、日本人は形のあるものが好きですから、世界で一番長く現金が流通し続けるかもしれません。

話題が本題から逸れましたが、ローソンの銀行業参入は、それなりに筋が通っているという話です。それでどのくらい稼げるか、というところまでは分かりません。なにしろゲームのルールが変わるんです。予想は困難を極めます。

そんな時こそバリュー投資ローソンはそんなわけで、小売り大手の中でも嫌われてます。事業再編で話題をさらったユニー・ファミリーマート、本業が好調なセブン&アイイオンは可もなく不可もないと思うけれど、イオン銀行がつい最近、消費者向けサービスランキングでトップになってましたね。

株価については、イオンはたいした業績でもないのにものすごく高いですね。ファミリーマートもそうです。業績がいいのかどうなのか、合併のせいではっきり言ってよく分かりません。セブン&アイは、総合的に考えるとそう高くも無いのですが、配当を十分に払ってくれません。配当性向低すぎると思います。

ローソンは、嫌われてる分安くなっています。減益なので、すごく安いとまでは言いきれませんが、配当利回りは3.7%。ゲームのルールが変わった後のことなんて分からない、と諦めて、配当をもらって満足していましょう。業績の悪化は少々心配ですけれど。


今年の株主総会メモ、ご参考まで。

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ピッカピカの会社ばかりじゃ面白くない ~ 三菱電機の思い出話 [株式の個別銘柄]

三菱電機の株主総会レポートで、この会社は好きな会社、と書きました。保有している銘柄の中では愛着のある銘柄です。

好き嫌いの世界の話ですから、投資対象として優等生であるとは限りません。数字を見れば、事実この会社より優秀な銘柄はいくらでもあります。でも、誰が見ても優秀な、ピッカピカの会社ばかりでは面白くないでしょう?

今でも印象に残っているエピソードからご紹介しましょう。時代は20年以上遡り、私が日本株のファンドマネージャーとしてワーカホリック気味に働いていたころ、初めて企業によるCSRのプレゼンテーションというものを聴いたのですが、それが三菱電機だったんですね。少々意外ではありませんか? もしかするとまだCSRという言葉さえ使われていなかったかもしれません。参加した感想は、「へえ?」という感じ。環境を守るのは良いことでしょうけれど、どう反応していいか、まだよく分かりませんでした。

もう一つ、その頃のエピソード。私事ですが、父は知財を専門とする法学者でした。ある時同僚の教授について、「最近新しく来た教授は、三菱電機出身なんだそうだ。」と話してくれたのです。企業出身の教授は珍しかったのでしょう。先日の株主総会で、知的財産活動に注力する、という項目があったので思い出しました。昔から注力していたと信じるに足る思い出話。

さて、当時三菱電機という会社は、「重電三社の三男坊」とでもいうべきポションにありました。証券コードの順番通りで、日本の産業全体を包みこむような安定感のある日立、半導体をはじめとするエレクトロニクス分野で技術力の評価の高い東芝、それに対して、一応何でもそろっているが、どこが特に強いのかはっきりしない三菱、というイメージでした。しかも同じ三菱グループには、三菱重工という兄貴分までいましたので。

その頃、総合電機をカバーするアナリストさんたちは、たいてい東芝が好きでした。DRAMなど、半導体の技術が優れていたからです。少し前までは、半導体と言えば花形でしたからね。しかし三菱は、それまでのリストラで半導体事業をすっかり縮小してしまっていたのです。DRAMはもうやめていたと思います。

そのほかにも、パソコンの本体だとか携帯電話端末だとか、電器メーカーなら品揃えとして必要だよね、という感じのものを、さっさとリストラしていました。他社に比べて経営に余裕が無かったということかもしれませんが、大きな電機メーカーの中では「選択と集中」ということを早くから理解して実行していた会社だと思います。家電製品も、利益が出なくなると一つずつ撤退しているようで、優秀なものだけが残っている印象でした。

実は、今でも総合電機として分類されてはいるものの、この会社の稼ぎ頭はFA(ファクトリー・オートメーション)です。FAと言えばその代名詞とでもいう会社がファナックです。こちらはまさにピッカピカの優良企業。営業利益が3割も出てしまうような超高収益企業です。三菱電機のFAはそれよりもかなり薄まっていますが、事業の性質としては収益性が高いわけです。ただ「総合電機」であったために、十分な評価がされているとは思えませんでした。実際三菱電機は「総合電機の三男坊」としての評価を受けていたのです。

そもそもエレクトロニクスのアナリストさんたちは、FAなんかに興味が無かったのです。それは機械産業のアナリストがカバーする分野で、エレクトロニクス技術の先端を追っていた専門家の眼には、退屈な産業だったに違いありません。だから三菱電機を奨めるアナリストは皆無か、いても非常にレアでした。当時の私は「三菱電機より株価の高い東芝は許せないね」というのが口癖でした。だから今の株価の差を見ると、何だかいい気分になるのです。

この会社は一般の保守的なイメージとは裏腹に、割と合理的な考え方をする社風なのではないかという気がしています。だから選択と集中が進んだのか、またはそれを進めているうちに合理的になったのかは知りませんが、時々ふと目につくことが、これまでもありました。今回の株主総会でも、株価の低迷に不平を言う株主には、さらりと正論で答えています。

そんなわけで、優等生っていうわけじゃない、でも、みんな知らないだろうけど、実は結構デキるやつだよ、という感じがお気に入りの所以です。好みの問題ですけれどね。


→ 2018年の株主総会 

タグ:三菱電機
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悪い話が出た時は [株式の個別銘柄]

ここで個別の銘柄をとり上げることなんて、そう頻繁にはやっていないにもかかわらず、日産の配当利回りについて書いた直後に大規模なリコールのニュース。リコールは車には付き物だとはいうものの、あまり気分のいいものではありません。悪いニュースには違いありませんから。

以前から書いていることですが、株式を保有したら、気にするのは配当が減ることだけ。株価が下がることを心配するのではなく、配当が減ることだけを心配するのです。だからこういう悪いニュースが飛び込んできた時も、それによって配当が減るかどうかだけを考えるわけです。

新聞記事によれば、リコールにかかる費用は250億円以上とのこと。「以上」というのは気になりますが、さすがに見込みの5倍や10倍に膨らむようなことはないでしょう。リコール以前の会社発表では、今期の純利益は5350億円、これに対して費用が250億で済めば、純利益の4.6%ということになります。その倍に膨らんだならば9.2%、1割弱ですね。そのくらい見積もっておけばとりあえず保守的と言ってよいでしょう。

さて、純利益が1割これによって吹き飛ぶとして、配当には影響があるでしょうか。日産自動車の配当性向は、先ほどの予想純利益5350億円に対して38.7%、これは、一株当たりの予想配当=53円 を、一株当たり純利益=136.8円 で割って算出します。つまり純利益の4割弱が配当に回っているということです。ということは、純利益が1割減っても、配当を減らす必要はありません。

それでも配当が減るとすれば、それは今回のリコールが、今後長きにわたって悪影響を及ぼすという判断をする場合でしょう。今回の事例を新聞等で読む限り、製品自体に欠陥があったというわけではなく、製品の検査に際して法令順守を怠ったということです。今後は製品検査の体制を改善しなくてはいけませんが、それは会社として当然のこと。適切な対処を期待してもよいと思います。

ただ、会社がコンプライアンスに甘い体質である、という印象は残りますね。それで会社の評価が低くなるということはあり得ます。ここで甘ければ、ほかで似たような失敗をしているかもしれない、という発想にもつながります。実際に似たような失敗が起こり、配当を減らさざるを得ないようなダメージがあれば、そこで初めて、この投資は失敗だったかな、ということになります。印象の悪化のみで株価が下がれば配当利回りはもっと高くなるので、投資額は増やすのが正しい、ということになりますね。

そんなことを考えながら、投資するのかしないのか、増やすのか減らすのか、…どちらの答えが正しいというものではありません。自分がどういう期待を持って、どんなリスクをとって投資判断しているのか、ということが大切です。


ご参考 私流 株式投資

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日産自動車の配当利回り [株式の個別銘柄]

2~3日前、株式関連の番組で、視聴者の投稿なのか、ジェレミー・シーゲルの「株式投資の未来」を読んだら配当を重視して株式投資すると書いてあってショックを受けた、という話をしていました。投資の意味が全く分からないまま投資している人が、相変わらず多いということなのでしょう。お陰さまで、それほどハイリスクでもないのに配当利回りが高くてハイリターンな投資対象が、今も放置されているわけです。皆が配当を重視して投資するようになったら、こうはいかないかもしれません・

現在の株式市場で、誰もが知っているような大企業で最も配当利回りが高いのは、多分日産自動車じゃないかと思います。会社発表の今期配当で計算して、現時点で4.6%です。どうしてこんなに高いのでしょうか。投資家が配当を重視しないからと言っても、いくらなんでもねえ、と私は思うのです。そこで、こんなにも配当利回りが高いのはどうしてか、理由を色々とつけてみました。

理由をつける前に、まず業績を見てみると、減益ではありますが、売り上げが減るわけではないし、そもそも配当性向が低かったこともあり、配当を予定通り支払うのに全く支障はなさそうです。しかも増配です。会社予想が53円/株のところ、四季報では53-59円ということですから、会社発表よりも多いかも、と予想しているわけで、上限の59円もらえたら、利回り5.1%です。すごい!

ここ数年の配当の推移を見ると、かなりのペースの増え方です。四季報のページで見られるのは4期前までですが、その時30円ですから、今期53円として、年15%のペースで伸びてきているわけです。この増配のスピードが速い、ということが高配当利回りの要因の一つでしょう。株価が増配ペースについてきていない。業績がそんなに伸びていませんからね。株式市場はいつのころからなのか、もうずっと成長志向なので、どうしても売上や利益に反応します。日産の業績も悪くはありませんが、今後もずっと伸び続けると簡単に予想してくれるほど、マーケットは甘くありません。

さて、まず「自動車」という業種。このところEV(電気自動車)や自動運転技術の話題が盛んです。技術的な革新が起こりそうな予感に、投資家も浮足立っているといった感がありますね。その中で既存の自動車会社は攻め込まれる立場にあるわけです。台数の普及も地域によってはまだまだ進むと思われますが、それよりも技術革新で苦境に立たされるのではないかという思惑の方が強く働いているようです。それを反映してか、日産に限らず自動車メーカーの配当利回りは全般に高めです。

未来の車がどうなるか、そして既存のメーカーの立ち位置がどうなるか、あまり正確に見通せるとは考えないほうが身のためです。予想については謙虚に参りましょう。現在のマーケットの見方は、少し既存のメーカーに厳しすぎるような気がしますが、どうなんでしょうね。自動車というのは、なにしろ家電などと違って人命を預かるものですから、動力系の変化だけですべての勢力図が変わる、というものでもない可能性はあります。また、電気自動車には電力が必要だということも忘れてはいけません。巨大な人口を抱える中国もインドも、発電には環境問題やインフラの問題を抱えていますよね。大きく勢力図が変わるにしても、時間がかかることはほぼ確実なのでは、と思います。

それから「日産」という会社への評価。超長期的なスパンで見れば、最先発のメーカーではあったものの、トヨタをはじめとする後発のライバルに追い上げられ、追い越され、記憶にある限りずっと右肩下がりの会社、というイメージです。バブル後日本経済が低迷すると、経営は潰れそうなところまで悪化して、仏ルノーの傘下に下りました。そんな会社ですから、基礎となる評価はどうしても低くなりがちなのです。また、規模も非常に大きいので、簡単に変われるとも思ってもらえないでしょうね。株価の評価というのはどの業種でも、そう簡単にランクが変わったりはしないものです。

日産の場合、もう外資系ですから、海外自動車メーカーの配当利回りの影響が同業他社より大きい可能性もあります。業種が当然同じですから、海外メーカーだって同じように厳しく見られているわけです。親会社のルノーは3.8%とのことですが、ドイツ車は、スキャンダル渦中にあったVWはともかく、BMWもダイムラーも4%台です。アメリカ車、GMは3.8%、フォードは5%に載っています。(データはいずれもBloombergより。) その中で4.6%のNissan、というのは、しっくりくるというべきかもしれません。

こうして見てくると、日産の4.6%というのは、特におかしな値ではない。他の日本メーカーとのバランスで、もう少し低くてもいいのかもしれないけれど、国外に目を向けると、そんなに下がらないかもしれない。つまり、配当利回りが高いという理由で株価が上がるということにはそれほど期待せず、この高い利回りを目的に買う、ということなら良さそうです。もちろん、業績が伸びて配当も増えれば株価は上がるでしょうね。この配当利回りの水準は、国際的に見ても高い方ですから。



ご参考 → 私流 株式投資

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「つま恋」を卒業したヤマハ [株式の個別銘柄]

先日新聞で、ヤマハがつま恋のリゾートの営業を終了、負の遺産の処理にめどをつけた、との記事を目にしました。

90年代に行った、小樽近くのキロロリゾートを思い出します。「ピアノ」というヤマハそのものみたいなネーミングの、洒落たホテルがありました。もう、バブルに引っかかった会社の典型みたいなイメージ。

ヤマハと言えば、楽器メーカーでありながら、テニスラケットやスキー板でもメジャーなブランドでした。学生時代は本チャンのテニス部でフタバヤのウッドなんか使っていた私からすると、あのカラフルでビンビンと響くようなラケットは、思いっきり邪道な感じがしたものですが、テニス・スキーと言えば、当時は紛れもなく若者の間で最も人気のあったスポーツ。ヤマハは親近感のあるブランドでもありました。

ただ企業としては、とりとめなく多角化していました。住宅バブルの頃は、システムキッチンを手掛ける「住宅関連」でもありましたし、日本と言えばテクノロジー、と言われた時代は、音源ICを中心とする電子部品メーカーという顔もありました。

楽器メーカーとしてのヤマハには、昔から敬意を抱いています。ウィーンフィル特注の管楽器をヤマハだけが作っているなんて、なんだか素敵じゃないですか。そんな数が少なくて手のかかる商品は、採算が良いとはとても思えませんが、こんな素敵なことをやっているんだから、その分少しばかり利益率が低くったって、それは許せるんです。が、せっかく立派な楽器メーカーなのに、その他の周辺的な事業のせいで、とても投資対象にはならない会社でした。

私自身はいわゆるポプコンのファンというわけではないので、つま恋に特別な感慨はありませんが、ヤマハという会社にとってはその歴史の重要な部分とも言えるでしょう。今現在のヤマハは良くなっているのかしら、と思って財務データを見てみました。

現状の諸々の数字、営業利益率9%台、ROEで10%というのは、一応及第点といったところ。わざわざ投資するほどの魅力はありません。過去10年の財務データがアニュアルレポートの中にあったので、それを眺めてみますと、少し風景が変わってきます。

直近の決算期の売り上げは、リーマンショック前のピークには未だ2割ほど及びません。でも、各レベルでコストが減っていて、営業利益はリーマン前ピーク(売り上げピークの翌年)を24%上回っています。営業利益率は6%から9%台へ。財務体質は元々保守的で、それほど変わらないまま、全体が小さくなっています。その結果のROE10.3%、これはリーマンショッ、ク前からそれほど変わっていないように見えますが、当時は営業外の利益が色々とあったようで純利益が膨らんでいますので、それに比べると現状のROEは、「本業」の力をよりよく示すものと言えそうです。

Wikipediaでヤマハなどの項目を見ると、スポーツ事業は2002年までに、ゴルフを除いてすべて撤退、住宅関連は2005年には受注・生産を終了し、2010年に実質的に経営から撤退、とあります。冒頭に述べたキロロリゾートは2007年に、他のいくつかのリゾートとともに三井不動産系列に売却されたとのこと、つま恋も終了となった後は、ゴルフ場が一つだけ残っているようですね。

現在走っている中期計画は、3年後の営業利益率が12%とか、ROE10%とか、すごく意欲的というより、ペースを守って着実に、ということでしょう。足元の業績動向を決算短信でチェックすると、事業の中心である楽器が堅調であるというのが良いですね。新製品効果で売り上げのぶれたエレクトーン以外、すべての品目で伸びているというのは、健全な印象で安心感を覚えます。音楽教室事業の譲渡など、構造改革は続いているようで、今期の見通しは減収増益です。

株価はアベノミクス以降順調。市場全体が停滞してからも上昇基調が続き、過去2年ほどはかなりアウトパーフォームしています。収益体質の改善は、もうそれなりに評価されているようです。PEの13倍は市場平均並みですが、特別利益を除くと実質は多分18倍あたり。高い成長性を見込んでいるわけではないので、割安とは言えません。

配当利回りの1.6%も低いですね。配当性向は現在26%。経営計画で「30%以上を目指す」と打ち出していますが、負債もほとんどない財務体質ですし、それほど高成長でもないのだから、配当性向はもっと高いところを目指してほしいですね。配当は四季報の予想で52円ですが、もし80円出してくれると配当利回りが2.5%ぐらいになって、ようやく魅力が出て来ます。配当性向で45~50%くらいになるでしょうか。

配当利回りが2.5%になったら投資したい、ときっと思うでしょう。利益率が特に高いとは言えませんが、音楽文化の発展に貢献している会社ですから応援したいですね。会社の実態も漸く音楽を軸とした姿になりましたし、ウィーンフィル特注のホルンやトランペット、これからも作り続けてほしいと思います。

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任天堂の30年 [株式の個別銘柄]

この夏話題になった銘柄と言えば、やっぱりポケモンGOで株価が一気に倍になった任天堂。その後は下がったとはいえ、急騰前に比べれば、3~4割は高いところで落ち着いています。ポケモンGOによる収益貢献はそれほどない、という解説をしている記事が散見されますね。多分その通りなのでしょう。そうではあっても、株価はそれなりの効果を見込んでいるわけですね。「効果」というのは、売り上げや利益かもしれないし、単にブランドイメージが上がるだけかもしれない、そこのところはよくわかりません。

個人的に任天堂に投資する予定は全くないのですが、これだけ話題になったので、任天堂って今はどうなっているのかなと、IRのサイトを覗いてみました。

まず過去の業績を遡ってみよう、と「ヒストリカル・データ」を開いてみて、ちょっとびっくり。なんと売り上げと利益のデータが、1981年からずっと載っているんですね。エクセルになっているので、こんなグラフがちゃちゃっと出来ちゃう。P/Lだけなので詳しい財務分析はできないにせよ、これだけの長さを載せている会社は珍しいんじゃないでしょうか。IRに優れた会社でも、10年ていどが標準だと思います。

任天堂の売上.png

これを見て一口で言うと、任天堂って90年代半ばに成長の止まった会社、というイメージですね。いつ何を発売してたのか、Wikipediaで見てみると、最初のファミコンが1983年、この頃の売り上げ680億円から、1989年発売のゲームボーイも一緒になって、1993年の売り上げ6300億円まで、ほぼ一気に10倍弱に駆け上がるわけです。

その後もなんとなく新製品を出しつつ、しかし以前の成長軌道を取り戻すことはなく、2002年に岩田社長を迎え、2006年発売のWiiが大ヒット。すごいですね、売り上げは5000億円台から、3年間で約3.6倍。2009年3月期に1兆8000億を超えるところまで行ってピークアウトします。ヒット商品が出ると、こういうことになるんですね。ポケモンGOが大人気と聞いて、条件反射的に株価が倍になっちゃうって、なるほど、よくわかります。

リーマンショックの影響がどのくらいあったのかわかりませんが、売り上げは再びWii前の水準に。そして2012年以降は右肩下がりです。過去にも売り上げが下がる時期は何度もあったのですが、2012年以降は過去のケースと違って、赤字を出してます。過去の営業利益率を見るとほぼ20%台、悪い時も15%は超えていたのに、ここ数年は深刻なようですね。2014年度と2015年度は何とか黒字を確保してますから、頑張ってコスト削減したのでしょう。

残念ながら株価は30年も遡れる方法が思い当たらないのですが、20年までは、ゴールデン・チャート社のサイトで見ることができます。パッと見た感じは、ほとんどこの売り上げのグラフ通り。細かく見ると、売り上げの変化の倍ぐらいの幅で動いている感じではありますが、長い目で見ると、株価は案外まじめに売り上げ動向をフォローしてます。ただ、アベノミクスがスタートしてからの株価が緩やかに上昇傾向なのに、売り上げは美しく右肩下がりですね。

私が任天堂を買わないのは、ゲームに興味がないし、うちの子がゲームにハマってもらっては困ると思っているからです。多くの人がゲームを楽しんでハッピーな気持ちになっているんでしょうから、それはそれでいいんですが、自分として応援したい企業とは言えないのですね。だからちゃんと調べたこともないし、常識的な事しか知りません。それでもIRサイトとWikipediaとゴールデン・チャートのサイトだけでこれだけのことが分かるんですね。ほんと、個人投資家にとっていい時代です。

ゲームが売れるかどうかの予想はできませんが、一応株価の評価を。利益の水準が低いので、PEは80倍あたりで、箸にも棒にもかかりません。これですと利益を全部配当に回してくれても配当利回りは1.25%にしかなりません。長期的にみると純利益率15%ぐらいが標準的なので、頑張ってその水準まで戻しても、PEは30~40倍。やっぱり高いですね。ヒット商品が出るなりして、また成長軌道に載るということにでもなればまた別ですが。


タグ:任天堂
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大塚商会 ~息子の職場体験をきっかけに~ [株式の個別銘柄]


7月の初めに、中学生の息子が学校の「職場体験学習」で、3日間大塚商会のお世話になりました。

この職場体験学習、受け入れ先の職場一覧を見ると、ほとんどが近所の商店や公共施設、保育園・幼稚園、老人ホームといったところ。そんな中で、どういう経緯で近所というわけでもない大塚商会の事業所で、文京区の中学生を受け入れようという話になったのか、その経緯からして興味がありますが、ともかく珍しい上場企業のオフィス。中学生男子にとって良かったのかどうかはよくわかりませんが、この会社、長年興味の対象外だったので、これを機会に業績をチェックしてみました。

四季報をパッと見たところ、ひと言で言って経営成績がいいんですね。こんなに伸びてるって知らなかった。パソコンの普及期にその販売で成長した会社、というイメージで止まっていました。実は今も立派に成長しています。利益率もキャッシュフローも資本効率も優秀。財務体質も強くて安心です。

会社のホームページで財務情報を見ると、過去10年間の必要十分な数字がExcelで見られます。ここではリーマンショックでどれだけ落ち込んだか、どのタイミングで回復したかチェック。売り上げは、2007年度のピークから2009年にかけて8.5%落ち込んでいますが、そこから2年で前のピークを回復。その後は順調に売り上げを伸ばし、2015年度は、2007年のピークと比べて3割増です。利益は当然のことながら振れ幅は大きいけれど、傾向としては売上と同様です。消費増税の時は特需もあったようで、2012~14年度の3年間は特に成長率が高くなっています。

リーマンショックの前と後を比べると、自己資本が積み上がって財務体質が強くなった分、ROEは20%台から14~15%へ下がって資本効率は落ちています。ただ、総資産に対する事業利益率(ROA)が載っていまして、これを見ると、それほど落ちてはいないんですね。いくつかの「回転率」の推移を見ても、会社全体として効率を落とさないよう、頑張っているんでしょう。特に目を惹くのは「従業員一人当たり」の売上や利益。ここ数年好調だった間に大きく水準が上がっています。配当もしっかり払っていて、一株当たりの配当額は10年前の4倍。20%台前半だった配当性向は、30%台後半に上がっています。

事業内容は二つの部門に分かれていますが、アニュアルレポートなど眺める限り、とにかく「オフィス、何でも屋さん」と総括していいんじゃないでしょうか。景気がどうでも、事務所というのは家計とある意味同じで、常に発生するニーズはあるものです。多分「システムインテグレーション」部門は相対的に景気に左右されやすいのでしょうけれど、「サービス&サポート」部門はいわゆる御用聞きのようなビジネス。これを「ストックビジネス」と呼んで注力しているそうですから、業績はこの先も安定の方向でしょうね。

個人の生活でも、情報機器をうまく使うのはなかなか大変なことですから、需要は豊富にありそうです。あとは営業力の勝負。こればかりは数字だけ見ていても、確たることは言えません。中学生の息子にそこまで観察しろというのは無理ですし。ただ先日、あるボランティア事業の会合でお会いした方がおっしゃってました。私が息子の職場体験の話をしましたら、大塚商会はすごいね、あそこで2~3年も営業をやったら、一流の営業マンになれるよ、と。ご自分の職場でサービスを利用なさっているようでした。

これを書いている時点の利回りは2%とちょっと。もっと高い銘柄はざらにありますが、今後配当が増えていく確率は結構高そうなので、悪くないと思います。…というわけで、先日少々投資してみました。

ここまで書いてきて、自分の保有している中で似た企業に思い当たりました。「オービック」という会社。四季報を改めてよく見たら、【比較会社】という欄にしっかり載ってますね。過去に株主総会に出ているのでご参考。→ オービックの株主総会 (2015年6月)

タグ:大塚商会
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